「茨城の古民家再生展」を見たくて、つくば美術館ギャラリーを訪れました。
第3回を数える本展は、サブタイトルに「ふるさとの風景を未来へつなぐ」として、茨城県を代表する建築家の金澤重雄氏と吉田良一氏が手掛けた作品の紹介と古民家再生への誘いのために企画されています。
金澤氏は、その土地の気候・風土の中で培われてきた住まいは、人にも環境にも優しい住まいであると喝破し、古民家を現代の生活に適合することで家族の記憶を拴かけがいのない我が家ができると述べています。
吉田氏は、再生には新しい建物を造る以上に、大事な技術の伝承や先祖の暮らし方などを感じ取ることと述べ、自然素材や自然エネルギーの活用が欠かせないとも指摘しています。
私は、生活の基盤である「住まい」を常に中心に、住まい方の検討をし続けたいと思っています。人生の約3分の1は睡眠です。住まいの懐に抱かれている時間の有り様が大切だと思います。けっして高級であったり優雅である必要はありませんが、歴史に耐えて、拭き清められた、愛情の結晶は、人の心の安穏を導くと思います。
この展示を拝見しながら、茨城の古民家の再生に取り組んで、居宅の用のみならず、店舗であり、集会所であり、旅館であり、学校であるような試みができないのだろうかと考えます。
そして、古民家再生の連携で、新しい茨城県の見るべき立ち寄り場所を創りあげられないだろうかと思います。
デザイン性溢れる作品を見て、更に変幻自在な作品が続くことを望みます。どうしても生活感を除いたところが美しく見えてしまう事には抵抗があります。住まいの新しい提案を是非ともお願いしたいと思います。