【熊本地震】被災者支援、復旧事業、産業・観光の再生、何といっても住まいの確保が急務。

 発災から1カ月半近くがたつ熊本地震。被災者支援や復旧事業における課題などについて、蒲島郁夫・熊本県知事のインタビューから学びたいと思います。
 『住まいの確保が急務/産業や観光地の再生も課題』
 『住民に寄り添う公明に期待』
 ――熊本地震の特徴は。
 蒲島 28時間以内に震度7の揺れが2度も続けて起きたことは、想定外の出来事でした。前震発災直後から人命救助や食料・水、避難所の確保などの初動対応を行いましたが、その後の本震が対応を複雑にしました。一時は県民の約1割に当たる18万人超が避難所に集中したこともあり、食料や水が届きにくいという事態が起きたこともありました。
 もう一つの特徴は1500回を超える余震です。今でも終わりが見えず、車中避難を続ける方もいます。そのため、エコノミークラス症候群といった二次的被害も発生しており、難しい対応を迫られる地震災害というのが率直な思いです。
 ――当面の被災者支援、復旧事業における課題は。
 蒲島 発災から1カ月半近くがたち、被災者支援は仮設住宅の建設や、みなし仮設住宅の確保、さらには避難所の再編を行う段階に入りました。
 これから暑くなるので空調設備の整った仮設住宅など、避難者の方々の住まいの確保が大切です。しかし、自宅が無事であっても余震の不安から避難所に身を置く方や車中避難を続ける方もおり、必要戸数が確定しないのが現状です。県が予想して建設を進めていますが、少なければ建設をさらに進めるなどのマッチングが重要になります。
 また、県内産業の再生と立て直しも喫緊の課題です。熊本県の基幹産業である農林水産業や県内の中小企業も大きなダメージを受けました。そこで知事の専決処分で補正予算を組み、被災された中小企業や農林漁業者向けの融資枠を大幅に拡大しました。さらに誘致企業が熊本に残って操業を再開できるような支援も行っていく必要があります。
 一方で熊本城も大きな痛手を受けました。安倍晋三首相からは「熊本城の復元が終わらない限り、熊本地震からの復興はないと思う」との明言をいただきましたので、政府も一体となって取り組んでいただけることを確信しています。さらに自然豊かな阿蘇も、国道57号やJR豊肥本線の寸断、国道325号の阿蘇大橋の崩落などアクセスが崩壊しています。この復旧は観光地「阿蘇」の復活・再生の要であり、国の強力な支援をいただきながら、一日も早い交通インフラの復旧をめざします。
 ――政府・与党の対応をどう評価していますか。
 蒲島 私は、
 (1)被災者の痛みの最小化
 (2)単に元に戻すだけではなく創造的な復興
 (3)県のさらなる発展につなげる――という「復旧・復興の3原則」を掲げています。
 地方創生の歩みを取り戻す上でも大切なことだと考えています。そういう意味では政府・与党はとてもスピード感を持って対応してくれていると思います。
 発災直後の先遣隊の派遣や現地対策本部の設置、政府主導で物資を送り込むプッシュ型支援などは非常に助かりました。さらには9日間という短期間での激甚災害指定や、初の適用となる大規模災害復興法に基づく「非常災害」にも指定していただきました。特に7780億円の補正予算は熊本が復旧・復興するに当たって、明るい展望を開いてくれたと感謝しています。
 今後、安心して復旧・復興へ進んでいけるよう、東日本大震災と同じように被災者と被災地にやさしい支援を決定していただくことを期待しています。
 ――発災直後からの公明党の取り組みについて。
 蒲島 公明党はとても頼りになる存在です。山口那津男代表をはじめ、多くの国会議員に被災地まで足を運んでいただいただけでなく、石井啓一・国土交通相も2度熊本を訪れ、阿蘇大橋や俵山トンネルなどを国の直轄事業として代行することを決定していただき、とても感謝しています。
 さらに、常に住民に寄り添う公明党県議は心強い味方です。特に、こうした災害時には公明党の地方議員と国会議員とのネットワークの力に期待しています。今後とも公明党が実践されてきた「生活者重視」の目線による政治で、引き続き復旧・復興に対して多大なお力添えをいただきたい。