昨晩の報道番組の中で、多くの方が、別々二通の手紙に接しました。ともに、わが子を思う父母の真情溢れる手紙です。
子を思い、世間の多くの方に伝えたい気持ちの詰まった手紙です。この二通の手紙を、この日この時に同時に聞くことに不思議な感情を持ちます。
私は、少しばかり目がうっすらとなりました。そこで、私の記憶の中に留めて薄れゆくことを残念に思い、以下に掲載してブログニ留めたいと思います。
遠く離れ行く父母とわが子の真情を、かつて12歳で茨城と東京にいた親子のことを思いながら。
6歳未満で脳死となったわが子の臓器移植を決断された父母。
「息子は私たち家族が精一杯愛情を注いで育ててきました。元気な息子のわんぱくに振り回されながらも、楽しい時間を家族みんなで過ごしてきました。
本日、息子は私たちの元から遠くへ飛び立っていきました。このことは私たちにとって大変悲しいことではありますが、大きな希望を残してくれました。息子が誰かの体の一部となって、長く生きてくれるのではないかと。そしてこのようなことを成し遂げる息子を誇りに思っています。
私たちの取った行動が皆様に正しく理解され、息子のことを長く記憶にとどめていただけるなら幸いです。そして、どうか皆さま、私たち家族が普段通りの生活を送れるようそっと見守って頂きたく、お願い申し上げます」
オウム事件で17年の逃亡の末に逮捕された菊池直子容疑者の父母。
「娘、直子が多くの皆様に大変なご迷惑をおかけしました。長く逃げていて社会に不安を与えました。親として、被害者・遺族の方々に、深く深くおわび申し上げます。私どもなりに、直子をオウム真理教と引き離そうとしてきましたが果たせず、1990年の出家後は全く連絡が取れず、このようなこととなってしまい、親としての力の無さに愕然(がくぜん)とするばかりです。
娘直子へ。あの時、直子の気持ちを分かってやれず、ごめんなさい。あの時は、何をどうしたら良いか分からなかった。直子、生きていてくれて、本当にありがとう。ぐっすりと眠って、疲れを取って下さい。
今日、高橋克也も逮捕されたと聞きました。
直子、オウム真理教は理想郷を作れず、作りませんでした。もう分かっていると思います。オウム真理教はとてもひどいことをしました。直子、ご遺族や友人はもう殺された人に会えないんです。被害者は生きていたかったんです。直子はそのオウム真理教の一員だったんです。どうか、事実を直視していってください。
直子、あなたに会いたい気持ちで一杯です。皆さまには申し訳ないことですが、娘に会いたい気持ちであることをどうかお許しください。
ここに改めて皆様に深くおわびし、また直子に伝えます。
2012年6月15日 菊地直子 父 母