2015年9月、国連サミットで「持続可能な開発目標(SDGs)」が全会一致で採択されてから、今年で10年の節目を迎えました。先日、国連が発表した年次報告書では、17の目標・169のターゲットのうち「ある程度進展が見られる」と評価されたものは全体の35%にとどまり、現状のペースでは2030年までの達成が難しいと指摘されています。
一方で、再生可能エネルギーの普及や、電力へのアクセス拡大、5G通信網の整備といった分野では顕著な前進が見られます。これらは、教育や医療、行政サービスのデジタル化を促進し、世界中で生活の利便性を高める基盤となっています。また、妊産婦の死亡率低下など、健康や福祉の分野でも一定の成果が報告されています。
しかし、深刻なのは貧困や飢餓の問題、そして気候変動対策の遅れです。極度の貧困状態にある人は世界で約8億人、飢餓に苦しむ人は7億人を超え、さらに安全な飲料水や衛生的なトイレを利用できない人も依然として多数存在します。昨年は観測史上最も暑い年となり、地球の平均気温は産業革命以前に比べて1.55度上昇しました。武力紛争や避難民の増加も、SDGs達成への大きな障害となっています。
私の地元である土浦市は、日本第2の湖である霞ヶ浦や筑波山をはじめとする豊かな自然環境に恵まれ、蓮根栽培を代表とする農業が盛んな地域です。こうした地域資源は、SDGsの理念と深く結び付いています。例えば、霞ヶ浦の水質保全や持続可能な農業の推進は、「安全な水と衛生」「気候変動対策」「陸の豊かさを守ろう」といった目標に直結する取り組みです。さらに、観光や農業体験を通じて、地域経済の活性化と国際交流を進めることは、「働きがいも経済成長も」「パートナーシップで目標を達成しよう」にもつながります。
国連報告書が指摘するように、残された5年間で取り組みを加速することは待ったなしの課題です。私たち公明党県議団は、地元の自然と産業を生かしながら、再生可能エネルギーの導入、環境保全、地域農業の持続的な発展を軸に、土浦市や茨城県全体の未来づくりを進めてまいります。
霞ヶ浦や筑波山の恵みを次の世代に引き継ぐために、持続可能なまちづくりを地域の皆さまと共に進めることが、今、私たちに課せられた使命だと強く感じています。
国連が発表した前進事例
- 2012年から2024年にかけて、5歳未満児の発育阻害の有病率は、4%から23.2%に減少した。
- 2000年から2019年にかけて健康寿命は5年超延びたが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によってこうした平均寿命の延びが一部反転し、8歳短くなった。
- 世界の妊産婦死亡率は、2015年の出生10万人あたり228人から2023年には197人に減少した。5歳未満児の死亡率は、2023年には出生1,000人あたり37人となり、2015年の44人から16%減少した。
- 2024年末までに、54カ国において少なくとも1種類の「顧みられない熱帯病」が根絶された。
- 2019年から2024年にかけて、差別的な法律の撤廃やジェンダー平等の枠組みの確立に向けた99の前向きな法改正が行われた。
- 2025年1月1日現在、国会議員に占める女性の割合は27.2%であり、2015年から4.9ポイント上昇した。
- 再生可能エネルギーは、現在最も急速に成長しているエネルギー源であり、2025年には石炭をしのぐ主要電力源となる見通しである。
- 5Gのモバイル・ブロードバンドは、現在世界人口の51%に利用されている。
国連が発表した交代事例
- 取り組みを大幅に加速させなければ、2030年までに世界人口の9%が依然として新しい国際貧困ラインを下回る極度の貧困の中で暮らすことになる。
- 2023年には、世界で11人に1人近くが飢餓に直面した。
- 2023年には、2億7,200万人の子どもや若者たちが依然として学校に通えなかった。
- 女性が行っている無給の家事やケア労働は、男性の5倍である。
- 2024年には、22億人が安全に管理された飲料水に不足し、34億人が安全に管理された衛生施設なしで生活し、17億人が自宅で基本的な手洗い設備を利用できなかった。
- 2024年半ばまでに、世界の難民の数は3,780万人へと急増した。
- 世界では、11億2,000万人がスラム街やインフォーマルな居住地に暮らしており、基本的サービスを受けられていない。
- 2024年には、それまで5年連続で増加していた政府開発援助が1%減少し、2025年にかけてさらに削減される見通しである。