【高校授業料無償化】所得制限は910万円、特定扶養控除縮減の悪影響にも対応。

 今日、私立高校生のお子さんを持つ親御さんから高校授業料無償化について問合せがありました。
 それは公立学校と私立学校の負担の差異についてのお話でしたが、現時点での公明党の問題意識等をご説明することで相応の理解を得たものです。
 以下は、公明党文部科学部会の冨田茂之顧問と浮島智子部会長のインタビューであり、高校授業料無償化への考え方です。
 現行制度には多くの問題点
Q.なぜ見直しが必要なのか。
A.高校無償化は、公立高校の授業料を無償化し、私立高校などの生徒には「就学支援金」として一定額を支給する制度で、民主党政権下の2010年に始まりました。しかし、制度導入の際に、さまざまな問題点が指摘されていたため、公明党の提案で、施行3年後の見直しが決まっていました。
Q.問題点とは?
A.例えば、無償化の財源を捻出するために、教育費がかさむ世代の税負担を減らす特定扶養控除が縮減され、もともと授業料が安かった特別支援学校や定時制・通信制高校の生徒がいる世帯は、かえって負担増を強いられました
このほか、無償化以前から授業料が全額免除されている低所得者層には、恩恵が及ばない上、現行の就学支援金では、依然として私立高校生の経済的負担が重いままである点も課題です。
Q.公明党は無償化に賛成したのでは?
A.公明党は一貫して「公教育は公費で」と訴えてきたことから、法案を修正し、付則に「施行3年後の見直し」規定を設けた上で賛成しました。併せて、付帯決議には、返済不要の給付型奨学金を創設することや、特定扶養控除縮減への対応を検討することなども明記させました。
ところが民主党政権下では結局、これらの対策は一向に進まなかったため、昨年末に政権に復帰した自公両党で今回、制度の見直しを進めたものです。
Q.見直しの具体的な内容は。
高校無償化見直しのポイント
A.低所得者層への支援策として、年収250万円未満の世帯向けに給付型奨学金を創設し、公立で年13万円、私立で同14万円を支給します。
また、公立と私立の教育費の負担の格差を是正するため、就学支援金を加算する対象世帯を年収350万円未満から590万円未満にまで広げ、350万円未満世帯の加算分も増額します。
さらに、特定扶養控除縮減の影響に伴う負担の軽減などにも取り組みます。
現場に配慮し法改正進める
Q.所得制限の理由と基準額の根拠は。
A.限られた財源の中で支援策を講じるため、負担をお願いできる世帯の範囲とのバランスを考慮し、所得制限を設けました。
基準額については、(1)所得制限の対象を全体の2割程度にする
(2)都道府県が独自に実施する授業料減免支援制度のうち、最も手厚い京都府の支援対象(年収900万円まで)を上回る額にする
(3)私立高校生への支援を中間所得者層まで拡大する
―などの条件を満たす額として、910万円が妥当だと判断しました。所得制限の対象は高校生がいる世帯の約22%。生み出される財源は約490億円となります。
Q.新制度を導入する時期は。
A.自公両党は14年度の導入をめざすことで合意していますが、決定はこれからです。
制度を変更するには、都道府県の条例改正や、生徒・保護者への周知などが必要です。このため、公明党は実施時期について、都道府県や学校現場の状況に配慮するよう主張し、自公で交わした確認書にも、その旨を盛り込みました。現在、文科省が都道府県の実態を調査しており、その結果を受けて実施時期を判断します。
なお、現在、在学中の生徒は、卒業まで現行制度のままとなります。制度が変更された後、新入生から段階的に新制度に移行する予定です。
Q.今後の流れは?
A.早ければ秋の臨時国会で関連法が改正される見通しです。
公明党は、かねてから実現を求めてきた給付型奨学金の創設などに力を尽くすとともに、自治体や学校、低・中所得者など現場の声を十分に聞き、新制度に反映させていきます。