毎年恒例になった「土浦市退職校長会総会」にお招き頂き数々のご指導を頂く機会に恵まれました。
今年は、前土浦市教育長である冨永善文先生が、「教育委員会での職務を通して」と題して、指導主事、教育長として過ごされた教育委員会での取組みを体験談として講演されました。大変に示唆に富み、かつ冨永先生の教育に対する情熱を教えて下さるものでした。
まず、「学校教育の現状と課題」について、子どもを取り巻く環境の変化を指摘されました。
それは、
①少子化、児童生徒数の減少。
小中児童生徒数で平成元年16190人が、平成25年11541人、学級数は平成元年463学級が平成25年334学級と減少し、学校そのものが分離新設から統廃合の時代になった。
②父子、母子家庭が増加した。
③要・準要保護世帯が増加した。現在1318人、11.3%にのぼる。
④生活習慣が乱れている。
夜型、家庭内でテレビゲームをすることが、児童生徒の「多動化」に繋がっている。
⑤障がい児の増加が顕著。
特別支援学級は、知的障害ではゼロなのに対して、情緒障害で平成元年14学級が平成25年63学級に増加した。担任1人では対応できず、特別教育支援員を土浦市は60人配置している。現在は幼稚園での要請がある。
⑥学力の二極化傾向が見られる。
⑦いじめ(小学校37件中学校34件報告)、不登校(小学校57名0.75%、中学校151名3.95%)の増加。
⑧教員の多忙化が課題。
⑨モンスターペアレレンツ、虐待の増加。
苦情に対して電話対応はダメ。会う事で解決の糸口を見つける。
次に、「戦後教育のパラダイムの変化」について、
①教育基本法の改正。教育3法(学校教育法、教員免許法≪免許更新制導入≫、地方教育行政の組織及び運営に関する法律≪教育委員会は点検評価する機関≫)
②学習指導要領の全面改訂
脱ゆとり教育、学習内容の増加、授業時数の増加、5、6年生の英語教育、高校の道徳教育
③小中一貫連携教育、中高一貫木養育、学びの連続性と多様化、中一ギャップへの対応
④少人数教育 35人学級であるが、既に平均は25人程度ではないか。
⑤2学期制や夏休みの短縮について、土浦市は従来通り3学期制としたが、これは子どもたち野リズムに合うという判断から。
⑥学校の外部評価をするために学校評議員制が導入。
⑦外部人材の活用としての民間人校長
⑧教育委員会制度の見直しが検討中
最後に、「土浦市の主な取組みや施策」について
まず、学力向上対策として
①独自の学力テストを実施し、指導と評価を一体化を目指した。
これは、教員の指導の検証ができるように小学校3年生以上を4強でじ、12月実施したが、県の学力テストも実施時期が重なるようになり変更。
②学びの広場サポート授業を夏休み1週間、希望者に実施
③理科教員の配置。小学校の理数教育の強化目指す。
④小中一貫・連携教育の導入。真鍋小2中で取組みし顕正した。独自講師の配置を実施。
⑤共同宿泊体験学習の実施。中学1年生に1週間を昼学校夜成年の家で過ごす。
⑥朝の読書タイムの導入。子どもたちの落ち着きが図られる。
最後に、集中学校の統廃合は、これからの流れ出る。
以上について講演がありました。土浦市の施策が全国に先駆けで実施されていることが良くわかります。