子育て支援策も、周知されなければ絵に描いた餅にほかならない。
マタニティマークを男性の6割が知らず、小児救急電話#8000は、1割の男女しか知らない。
宝の持ち腐れと言うには、行政サイドの不作為による普及不足と言える。
妊婦であることを周囲に知らせる「マタニティマーク」を知らない男性は約6割――。内閣府が13日に発表した「母子保健に関する世論調査」で、こんな結果が明らかになった。全国の成年男女3000人を対象に、面接方式で実施した。
このマークは、見た目では分かりにくい妊娠初期の女性が身に付け、交通機関などで周囲の人が気付きやすくするとともに、座席を譲るなどの配慮を促すもの。
「満員電車でおなかが圧迫される」「たばこの煙が困る」といった妊娠初期の女性の訴えを公明党が受け止め、2006年度に自治体によってバラバラだったデザインを、全国で統一させた経緯がある。
洋服やカバンなどに付けるバッジのほか、携帯電話のストラップやキーホルダーなど、個人向けグッズも妊婦の間では普及している。
ところが内閣府の調査によると、マタニティマークを言葉だけも含め「知っている」と答えたのは、女性が63・8%なのに対し、男性は41・4%だった【グラフ参照】。年齢別に見ると、60歳以上は男女とも半数以上が「知らなかった」としているほか、都市規模別では、「知っている」人の割合は大都市で、「知らなかった」人の割合は小都市でそれぞれ高かった。
一方、小児救急電話相談(#8000)についても、「知っている」と答えた男女は10・2%と低水準にとどまった。
同事業は04年度から国の補助事業として始まったもので、公明党の推進により今年9月1日までに全国47都道府県で実施されている。
全国統一の短縮番号「#8000」をプッシュすれば、乳幼児を抱える保護者が、夜間や休日の急な子どもの病気にどう対処したらよいか、医療機関を受診すべきかなど、小児科医や看護師に電話でアドバイスを受けられる。調査結果を男女別に見ると、同事業を「知っている」男性は4・6%、女性は14・9%といずれも低調だった。