政府は発達障がいのある児童・生徒らが別室で授業を受ける「通級指導」や外国人児童らへの日本語教育などを担当する教職員定数を改善することを決め、2017年度予算案に盛り込みました。
公明党の粘り強い訴えが、待機児童解消への前進となったものです。
教員定数の改善に向けた公明党の取り組みについて党教育改革推進本部「教職員定数の充実に関する検討小委員会」の浮島智子主査(衆院議員)に聞いた。
――教職員定数はどう改善されますか。
「通級指導」を受けている公立小中学校の児童生徒数の推移浮島 発達障がいのある子どもらに適切な教育を行うための通級指導や外国人への日本語教育などを担う教職員数は、従来、毎年の予算編成の度に決まる不安定な「加配定数」の一部でしたが、来年度以降は対象の児童・生徒数などに応じて自動的に決まる「基礎定数」の中に位置付けられることになりました。
具体的には、従来の「加配定数」枠約6万4000人のうち3割を今後10年間で「基礎定数」の中に組み込む計画が進みます。複数年度にわたる計画的な教員定数の改善は、実に16年ぶり。政府・与党は制度変更に向けた法改正を、20日召集の通常国会で行う方針です。
この見直しにより、通級指導は、教員1人が受け持つ児童・生徒数が従来の16人から13人へと手厚くなります。日本語教育では21人から18人に改善されます。
――なぜ改善を行うのですか。
発達障がいのある子どもや日本語教育を必要とする外国籍などの子どもの急増に制度が対応し切れず、各地で教員が著しく不足していたからです。
例えば、15年度に通級指導を受けた児童・生徒数は06年度の2倍を超える約9万人に上りました。しかし、希望しても通級指導が受けられない“待機児童”は少なくとも1万人はいるとの文部科学省の報告があります。今回の改善は、その解消への大きな前進です。
――公明党の取り組みは。
公明党は教職員定数の大幅な増員を一貫して訴え、昨年9月に、党教育改革推進本部に「教職員定数の充実に関する検討小委員会」を設置。現場の教員や保護者らから実情を聞き、安倍晋三首相や麻生太郎財務相ら政府側に対して教員確保に向けた「基礎定数化」を提案しました。また同11月16日の衆院文科委員会では、富田茂之党文科部会長が、他党に先駆けて通級指導の“待機児童”の存在を取り上げ、改善を求めました。
しかし、17年度の予算編成では、財務省は「実現は難しい」との一点張り。政府・与党として一度は見送る方向へと傾きかけましたが、公明党が最後まで粘り強く主張し続けた結果、今回の改善が実現する運びとなったのです。
東京インターナショナルスクール 坪谷ニュウエル郁子理事長
今回の教職員定数の改善は大きな前進です。私自身、外国籍も含めた発達障がいのある子どもの教育にさまざまな形で長年携わっており、通級指導などの教員不足を実感してきました。
一昨年からは政府の教育再生実行会議の一員として、深刻な状況や体制充実の必要性を政府に訴えてきました。
しかし当初、前向きな答弁が政府側からは一切ありませんでした。そんな中、予算編成の最終盤で公明党が与党として政府に働き掛け、逆転劇を生んでくれたことに感謝しています。
教育、福祉、暮らしの分野で改革が起こせるのは、利害を問わず、真に現場のニーズに見合う政策に向け真剣に仕事をする公明党だと痛感します。教育にさらに“投資”する国を築いてほしいと願います。