要介護者の在宅生活を支援するため、昨年4月から始まった「24時間定期巡回・随時対応サービス」。
厚労省の調査では、利用できる地域が、3月末時点で介護保険を運営する1580市町村(広域連合含む)のうち、7・6%に当たる120自治体にとどまっていると言います。
事業開始から1年を経過して利用可能な地域が1割に届かない現状。施設入居型かせ在宅型へ移行する介護の形は、高齢化社会が加速する中、24時間対応サービスの形で目指さなければならない。
このサービスは、1日複数回、短時間の訪問や利用者からの呼び出しにも応じる。定期的な排せつの介助や服薬の確認、着替えや床ずれの処置など、要介護者の増加で需要が高まることは避けられません。
しかし、なぜ介護事業者の参入が伸びないのか。
原因の一つは、事業者の認識の相違であることが分かった。24時間対応のサービスといえば、深夜や夜間の対応が中心であったり、急な呼び出しばかりが多くて、事業者の負担が大きく、とても対応できないのではないかというイメージが参入を躊躇させている。
では実態はどうか。厚労省研究事業の調査によけば、参入事業者がサービスを提供している時間帯のうち、「午後10時から午前5時まで」の深夜から早朝にかけた時間帯のサービスは全体のわずか5・1%にすぎないとの調査結果があります。
日中の定期的なケアが行き届いていれば、深夜や夜間の呼び出しは頻繁にならない。正確な情報提供や丁寧な説明があれば、新たな事業者の参入を促すのです。
二つ目の要因は、介護・看護人材の不足があげられます。例えば、住宅が点在する地域では移動時間がかかり過ぎるため、1日に何度も訪問することは難しい。しかし、そのような地域でも要介護者を支えるサービスの提供は求められる。そのため、介護・看護人材の確保が利用地域の拡大と密接にかかわってくると言えます。
潜在的な人材を活用するための復職支援策の充実や待遇改善が重要ではないか。介護分野で働く人々は仕事の負担の重さに比べ、給与水準が低い現実。所得を向上させるために、離職する介護士などが多い現状も改めなて行かなければなりません。
せっかく24時間対応のサービスを創設しても、それを支える人材が集まらなくては、制度は思い通りに機能しません。人材の確保や処遇改善を進めるため、公明党は「新たな基金の創設」を提言しています。厚労省や自治体は、必要な施策を早期に実現し、「24時間定期巡回・随時対応サービス」の運営を確実なものにしていくべきだと考えます。