原発事故は、生活に多くの影響がありすぎる事件なのだ

 東北地方太平洋沖地震とともに、私たちの生活を大きく揺るがす福島第一原子力発電所事故は、放射線漏れの段階から予想されていたこととは言え、茨城県を含む放射線汚染問題となって参りました。
 昨日の本ブログでも、各地各作物の測定値と茨城県知事の対応を掲載したところです。
 そして、今日(21日)八島功男県議は、井手義弘県議ともに渦中の鉾田市を訪れ、鉾田市地元の公明党入江晃市議の案内を得て、鉾田市内二つのJA組合の組合長と面談して、
 ①放射線汚染の状況と今後 
 ②原発事故後大量帰国した中国人研修生について 
 を忌憚なく話し合い、現状の苦悩と苦闘を共有しながら、政治の役割や要請を聞き取らせて頂きました。
 ◎放射線汚染の状況と今後
 
 ホウレンソウについては、昨日の橋本知事からの出荷販売の自粛、及び今日政府が原子力災害対策特別措置法に基づく出荷制限したことで、農協として生産者からの集荷や等級等の選荷、市場発送を停止しています。
 
 JA茨城旭村に所属するホウレンソウ栽培農家は約65軒、常時20軒が出荷しており、一桁の先がホウレンソウ専業農家ということです。
 同組合のホウレンソウ年間販売数量は約13.2万箱、販売高は約2億87百万円で、現在は毎日700~800ケースが東京市場に出荷されています。
 
 聞き取りによれば、
・ホウレンソウの殆どがいわゆる「露地」ものではなく、「大型ビニールハウス」内栽培であり、直接放射線に触れることは考えにくい。しかし、高萩市ではハウス物で基準値超があり、原因の追究が必要ではないか。
・確実に放射線濃度値が出る露地物を先行して発表するのではなく、圧倒的に出荷数の多いハウス物を同時に測定発表して欲しかった。
・産地として「茨城県」が先行したので、今後は全ての農作物に風評被害が出ることは確実ではないか。
・今後は、産地銘柄指定された「パセリ」も心配で、ブランド化しただけその影響は大きい。
・春以降の「メロン」の栽培期には、原発問題は収束して欲しい。もし長引けば鉾田市のみならず茨城の農業の危機である。
・茨城の農業の危機は、東京市場の危機であり、東京の食卓に野菜が大幅になくなる事態だ。
・政府は、「出荷停止」と「政府の補償」を明確に言うべきで、あいまいな自主規制の指示では、農家は出荷に迷い、生計は成り立たない。
・明日から東京市場で「競り」が始まり、市場から店頭そして食卓に、茨城野菜が流通するが、風評を含めてどのような結果がでるかが問題だ。明日の夜のニュースが今後の動向を決定するのではないか。
・危険なイメージを払拭するのは本当に難しい。どのくらいの時間がかかるものなのか本当に不安である。
 
 加えて、地震により、営農情報支援センターのみならず、メロンの集荷や選定、出荷する青果管理センターの工程ラインが大きく被害を受けており、修復の目途が今のところ立たないとのことでした。
    DSCN1514
  DSCN1517
 農家の苦悩は、被害が原発事故による放射線を原因にするため、たとえば農作物の廃棄の方法も、単に土壌の混ぜてしまえば良いと言うものでない事等、本当に国(農水省)のリーダーシップがあるのかどうかと言うことです。
 
 愛情込めて作り、私たちの食卓を飾る農産物を廃棄する苦しみを本当に理解しながら、心に沁みる真実の言葉を農家の皆さんは待っています。
 ◎原発事故後大量帰国した中国人研修生について 
 
 既に掲載した通り、中国人研修生(実習生)の大量帰国により、農家は、主力の働き手を失ってしまいました。
 
 聞き取りでは、鉾田市の研修生の実数が正確ではありませんが、350人とも言われ、緊急帰国した人数は、半数以上とのことです。
 
 住み込みで研修労働していた6名中6名の全員が帰国した農家もあり、それも、帰国する当日の早朝に賃金の清算をして、その場で帰国を切り出すなど、唐突な印象が否めません。
 
 それも、中国国内で報道された日本の原発事故の内容が正確性を欠き、あたかも大惨事の様相と伝えられ、研修生の実家からの帰国の哀願に応えてのもののようです。
 
 加えて、中国大使館が、今まで中国から来る研修生を斡旋コーデネートしていた「交流センター」に赴き、3月17日から18日に、バス6~7台を用意して、成田空港に向かわす状況との事。
 
 更に、通常約24万円となる航空料金を3万円にして、実家のある近隣空港でに関係なく帰国させる事態です。
 
 それは、中国政府の自国民保護の徹底のようであり、国内問題のシフトのように思えるとの感想も聞かれました。真偽の程はいざ知らず、「お父さん、お母さん」と呼ばれて相当時間同じ生活をした農家の家族からは信じがたい光景であったとのことです。
 
 この帰国した研修生は、二度と日本に来ることは叶いません。
 
 「一時帰国」の制度を知っているのか知らないのか、または適用外なのかどうか、ともかくもこの帰国は研修の終了であり、再び日本に研修生として来日はできません。
 
 誤解の謗りを覚悟の上で言い換えれば、ある意味就労を目的に、相応のお金(中国本土とは比較できない)を稼ぐことはできなくなったということです。これは、結果として双方に不幸なことなのかも知れません。
 JA茨城旭村では、喫緊の問題である労働力不足を解消したく、緊急で「ヘルパー募集」のチラシを新聞折込しました。
 就労問題は、簡単に使用者と労働者の相対問題に片付ける訳にはいきません。就労に伴う数多くの付随事務や事項を整理して、安定的に労使の協調が必要です。現状では、農家がハローワークに求人することが基本になります。ましてや震災の被災者を臨時就労させたり、今後の住込み就労にするとなると多くの課題があると考えられます。
 その上で、行政の仕切りの上で、このマッチングを成就したいようにも思います。日本の農業労働問題のあり方を真剣に検討する時が着たのだと思えてなりません。
  DSCN1522  鉾田にある日本と中国の研修生斡旋の事務所である「交流センター」にあった張り紙です。
 今回の緊急帰国を呼びかけて段取り等を告知しています。
 この告知に沿って、大量帰国がなされました。