【認知症】自由で個性を尊重し、仲良い懐かしさに溢れる家族生活が、認知症にあってもなごみの生活。

 東京大学市民後見人養成講座のカリキュラムとして「福祉体験活動(高齢者施設・障害者施設)」があります。
 これは、後見人として、判断能力が不十分な人とコミュニケーショができることで後見人のより良い活動の中核になるものを実践的に学ぼうとするものです。
 私は、今日土浦市の認知症対応型共同生活介護事業所(グループホーム)である「しょうわ家族」を伺い1日体験活動をさせていただきました。
 まず施設長から、事業所の概要を教えていただき、認知症の皆様の個性や生活習慣の違いを尊重しながら、その方らしい豊かで楽しい生活を送っていただくために「もうひとつの家」「ふつうの家」を目指して運営されているという施設の理念を教えていただきました。
 さらに、玄関に鍵をかけないことをひとつの形として、地域に受け入れられる入居者であり施設であること、さらに地域の皆様も施設に自由に来れる受け入れ体制が特色であるとも教えていただきました。それゆえ、何度も「いつでも、何度でも来てください」とお話されことに感銘しました。
 入居されている方には認知症の進行度合いや介護判定の差異があり、個人の自由と尊厳を守るという側面と、集団で暮らすという他人に迷惑をかけないという、ある種の矛盾点への職員の気配りの努力がありました。私にとっては、入居者の皆様は両親と同じ世代であり、何の抵抗もなく入っていけたと思います。お一人お一人のケアスタイルを理解するには至りませんでしたが、手を繋ぎ、ゆっくりと話し、うなづき微笑むことが、少しでも信頼を得ることになると思います。
 認知症は、いずれは自身の問題でもあります。そして、後見人制度はさらに広く高度化して行かなくてはなりません。人が人の権利擁護、身上監護をすることが喫緊の課題です。施設長が言われた「核家族」や「単身世帯」が確実に増えているからには、施設に入っても帰るべき自宅はないということにほかなりません。今日伺った「しょうわ家族」の入居者は、自宅が「しょうわ家族」そのものであると言われました。この姿が、これからの介護の世界がもしれません。