昨日に引き続き、公明新聞から「特定秘密法案」の疑問に応える記事を掲載します。
「知る権利」を、特定秘密において同担保していくかは、指定期間・情報公開の手法の整備・思想や信条の自由の保証などをどう理解し、法律の適用の際を明確にすることです。それらに応える内容と思います。
Q 特定秘密の指定期間の上限は原則30年から60年に後退したのか?
原則30年公開。60年は例外措置
A 後退していません。
当初の政府案では、通じて30年を超えて指定の有効期間を延長する場合に内閣の承認が必要となっていましたが、これに対しては、内閣の承認さえあれば特定秘密に指定された全ての情報が半永久的に秘密にできてしまうとの批判がありました。
修正協議の結果、まず、指定の有効期間は原則として30年を超えることができないことを明確にしました。さらに、通じて30年を超えて有効期間を延長することのできる情報についても、通じて60年を超えて延長することができないこととしました。
秘密指定解除の例外7事項ただし、特定秘密の中には、暗号や人的情報源に関する情報など、どうしても秘密にし続けないといけないものがあります。そこで、通じて60年を超えて指定の有効期間を延長することができる事項【別掲】を限定しました。
さらに、衆議院での公明党の質問に対して、通じて30年を超えて有効期間を延長することのできる情報は、この限定された事項だけであるとの安倍首相の答弁がありました。指定の有効期間に明確な上限を設定したことにより、恣意的な延長はできないことになりました。
なお、米国では、秘密の有効期間は原則25年以下であり、人的情報源などの情報に限って50年または75年となります。
また、英国では、秘密情報は原則20年で開示され、例外的に、公安関係などの情報については100年、国家安全保障に関する情報については個別に定める期間となっています。つまり、日本の有効期間の上限は国際的にも決して長くはありません。
Q 秘密保護よりむしろ情報公開を進めるべきではないか?
保存期間後は公文書館で公開
A 国家や国民の安全を保障するために公開になじまない情報はあります。しかし、秘密指定の必要がなくなった情報を速やかに公開することは国民主権の観点から当然です。
現在、行政機関において保存期間(原則30年以内)が満了した歴史的公文書などは、公文書管理法に基づき国立公文書館等に移管されることになっています。しかし、防衛秘密については独自に廃棄などがなされているため、特定秘密も同様に取り扱われるのではとの懸念がありました。
修正協議の結果、公明党の主張により、30年を超えて指定の有効期間を延長することについて内閣の承認が得られなかった文書は全て国立公文書館等に移管すると明記しました。また、衆議院での公明党の質問に対して、安倍首相は、30年を超えて指定の有効期間が延長された文書について、行政機関の長が自ら解除する場合にも全て国立公文書館に移管されるよう、運用基準に明記することを約束しました。これらにより、行政機関が都合の悪い情報を恣意的に廃棄できないようになりました。
秘密が闇から闇に葬られることがあってはなりません。
情報公開の充実・拡大は公明党の基本政策です。
Q 第三者機関はできるのか?どんな機能を持つのか?
独立の立場で政府をチェック
A 修正協議の結果、特定秘密の指定及びその解除に関する基準等が、真に安全保障に資するものであるかを独立した公正な立場において検証・監察する新たな機関の設置を含め、特定秘密の指定等の適正を確保するために必要な方策について検討することが附則に明記されました。
法案成立後、内閣官房に準備室が設置され、統一基準の原案作成などの法案の施行準備とともに、検討が始められます。
そして、その検討に当たっては、有識者の意見を聴くとともに、諸外国の制度、特に、米国の省庁間上訴委員会や情報保全監督局が参考とされることになります。
さらに、修正協議の結果、国会が国権の最高機関として行政の活動をコントロールする観点から、特定秘密を取り扱う行政機関の在り方や特定秘密の運用の状況などについて審議・監視する委員会、その他の組織を国会に置くことなどについて、早急に検討を加え、法案の施行までに結論を得ることとしています。
Q 戦前の治安維持法のように国民の自由が侵されないか?
思想・信条の自由は憲法で保障
A そのようなことはあり得ません。
戦前の治安維持法は、当時の国家体制に批判的な思想・信条に基づいた運動を処罰することを目的とした法律でした(1945年廃止)。特定秘密保護法案は、公務員などによる国家の安全保障上必要な情報の漏えいを防止し、国家の安全保障、国民生活の安全の確保に資することを目的とするもので、全く異なります。
日本国憲法は思想・信条の自由を基本的人権として掲げており、侵してはならない国民の権利であると明確に規定しています。