障がい者に対する差別をなくし、社会参加を促す「障害者権利条約」の締結承認案が、4日の参院本会議で全会一致で可決、承認されました。
同条約は2006年の国連総会で全会一致で採択され、08年5月に発効した。締約国に対し、障がい者が健常者と同等の権利を得られるよう立法措置を行うことを義務付けているほか、誰もが有する教育や健康、就職、結婚などの権利を保障するよう求めている。11月末までに137カ国と欧州連合(EU)が締結している。
日本も早期締結をめざしていたが、当事者団体から「拙速な批准は避け、国内法の整備を進めるべきだ」との意見を受けて手続きを中断。国内法の整備を受け、今回、国会承認を得たことにより、条約発効から5年余りで批准することになる。
公明党は国内法の整備に向け、当事者団体との意見交換を重ね、11年に「障害者」の定義に自閉症などの「発達障害」を加え、障がい者支援の基本原則などを定めた障害者基本法の改正をリード。
また12年には、制度の谷間にあった難病患者を、福祉サービスの対象とすることなどを柱とした障害者総合支援法成立も主導した。
さらに今年6月、障がいを理由にした差別的取り扱いの禁止などを盛り込んだ障害者差別解消法を成立に導くなど、条約批准に向け一貫して取り組んできた。
「条約の精神、大きく育てる」 日本障害フォーラム(JDF) 嵐谷安雄代表の言葉
これまで権利条約の批准に向けて運動を重ねてきましたが、その途上で多くの仲間が亡くなりました。私たちはきょうの日を心から待っていました。本当にうれしい。
今回の国会承認は、例えるならば“子どもが生まれた”ようなものです。今後、さまざまな問題提起もされると思いますが、条約の精神をどう施策に反映させていくか。実効性のあるものに“大きく育てる”ことが課題になります。JDFの中でも意見交換を進め、知恵を出し合う必要があります。
公明党は条約批准の前提となる国内法の整備へ、私たちと一緒に取り組んでくれました。これからも連携しながら、障がい者施策の前進へ協力をお願いします。