【特定秘密保護法】専守防衛とは情報の取扱が生命線、守るべき情報は断じて守らなくてはならない。

 「特定秘密保護法案」の余波が今もあります。
 今朝も地域の方から、「将来のなし崩しが心配」とのお話を頂きました。そして、自社さ政権を例に、「与党になって社会党は消滅した。公明党はその轍を踏むのか」とのご心配を頂きました。
 私は、「公明党だからこそ右傾化を阻止し、戦後回帰のようなことはさせません」と申し上げ、権力の魔性との対峙が公明党の真骨頂であるとお伝えしました。まだまだ公明党への理解は進んではいないとも思われます。今も野党のような役割を求める方もいます。与党内のブレーキと言う方もいます。私は、既に公明党こそが与党のなのだと考えているところです。本法案で言えば、すぐに「第三者機関」と「知る権利」で修正をし、その上で4党の修正を加えたという事実が最も大事たと思います。
 以下の、文は公明党衆議院議員いさ進一氏のブログです。中国大使館で当時の「特定秘密」を扱った当事者として生の現場を明確に述べていますのでご覧ください。
「特定秘密保護法案」の審議に思う ①
Posted on 2013年12月7日
昨夜(12月6日)遅く、「特定秘密保護法」が参議院で可決され、法案は成立しました。これまで私のところにも、多くの方々から心配の声、懸念の声を頂いて参りました。「戦時中の治安維持法の復活じゃないか。」「日本は、いつか来た道に戻るのか」「公明党は、自民党に追従するだけの存在になったのか」新聞各紙を見比べてみても、本法案を連日、徹底的に批判する新聞と、中立に分析する新聞に、はっきりと分かれました。
私が今回の法案審議の中で、感じたこと、考えたことを少し、書き記したいと思います。
1.法案はなぜ必要か
我々公明党は、現在の日本にとって、この法案は必要だと判断して賛成しました。なぜ、必要なのか。
日本は、「専守防衛」の国です。つまり、我が国の思いや考え方を、武力をもって実現することは、憲法第9条が禁じています。つまり、国益を実現していく手段としては、武力ではなく、話し合いで、「外交」で戦っていく必要があるのです。そしてその「外交」において、最も重要なのが「情報」なんです。
中国が突如、「防空識別圏」を設定しました。こうした一方的な宣言によって、尖閣諸島を含めた南西方面の危険度が、一気に高まりました。マッハの速度で動いている航空機同士では、瞬間的な何らかのきっかけで、突然の「撃ち合い」が始まらないとも限りません。我々は、こうした武力衝突、あるいは戦争に発展してしまうという事態は、何としても避けなければいけません。「外交」で解決していかねばならないのです。その時に、最も重要なのが、「情報」なんです。中国の真意がどこにあるのか。日本が取りうるべき選択肢は、どれくらいあるのか。こうした「情報」で勝つことが、「外交」の勝利であり、ひいては地域の平和と安定を実現していくことができるのです。私は、そう信じています。
では、今の政府の情報管理はどうなっているのかと言うと、非常に「ずさん」な状況です。これまで、「外交」の根幹である「情報」が、幾度となく漏れ続けて来ています。報道に出た事件もあるし、そうでない事例もあるでしょう。
私が北京の大使館で勤務していたときも、秘密情報を扱う機会がありました。そもそも、今の政府の極秘情報、あるいは秘情報は、役人自身の判断で、「勝手に」決められるんです。そしてさらに、「勝手に」破棄できるんです。これが、政府の秘密情報管理の現状なんです。こうした「ずさん」な情報管理に、しっかりとルールをつくろう、これが今回の「特定情報保護法」の趣旨なんです
「特定秘密保護法案」の審議に思う ②
Posted on 2013年12月7日
2.「知る権利」は守られるのか
一方で、基本的人権にかかわる、妥協できない大事な観点があります。それは、①国民の「知る権利」を徹底して守ることであり、またそのための「報道の自由」を守ることです。そしてまた、②政府が、国民に知られると都合の悪い情報について、「勝手に」特定秘密としないよう監視することです。さらには、③たとえ「秘密」となったとしても、一定期間が過ぎた後には、その「秘密」を公開して、その時の政府の判断は正しかったのかどうか、後世の歴史の審判を受ける必要があります。
我々公明党は、政府から最初の案を受け取った時に、この上記3つの観点から、法案について徹底的に議論しました。我々公明党の大事な仕事の一つは、巨大与党である自民党に対して、もし行き過ぎたところがあれば修正させ、バランスのとれた政治としていく。国民の声を反映させて、偏りすぎない、中道の政治を行っていくことだと思います。そこで同法案についても、「反対」の立場である団体や個人にも会議に出席して頂いて、合計13回にわたって議論を重ねてきました。その結果、我々は上記3点に対して、以下のような修正を行いました。
①「知る権利」については、最初の政府案には、「報道の自由に十分配慮する」という条文しかありませんでした。「十分」とは、どれだけなのか。「配慮する」では、単なる努力規定、精神規定となってしまうのではないか。こうした懸念から、我々は「国民の知る権利」をまず、はっきりと明記させました。そして、具体的に、通常の取材活動、これまでメディアが行ってきた取材活動は、「罰せられない」という、具体的な条文を盛り込みました。
各党との修正協議の結果、さらに条文を追加しました。一般の方々は「秘密情報」を得たからといって罰せられることはありません。あくまで「スパイ目的」、あるいは「国民の安全・安心を脅かす目的」をもって、しかも「金庫を破る」などの違法の行為でなければ、罰することが出来ない、との条文も入れ込んだのです。
②政府が恣意的に、都合の悪い情報を隠すのではないかという点については、政府案に対して、公明党は外部からのチェックを行う機能を盛り込ませました。「有識者会議」というものをつくり、政府が「秘密」指定する基準をつくる際、チェックする機関を設置することとなりました。さらに修正協議を重ね、「情報保全観察室」や「保全監視委員会」など、それぞれの機関が何重にも、政府の秘密指定をチェックできるように措置しました。
国会に秘密情報が来なくなるのでは、というご懸念も頂きましたが、それは全く逆です。これまでは、政府の役人が「これは秘密ですので、開示できません」と言えば、国民の代表たる国会にも、情報提供をする必要がありませんでした。しかし、今回の法案では、国会の求めに応じて、特定秘密も提供「しなければならない」としたのです。政府に対するチェック機能として、たくさんの機関が設置されますが、ではどこが一番、強力なチェック機関かと言えば、それは間違いなく、「国権の最高機関」たる国会なんです。もちろん、秘密情報を受け取る際には、国会自らが情報を守る体制づくり、ルール作りをするのは、言うまでもありません。
③永遠に秘密となるのではないかという懸念に対しては、以下のやり取りがありました。行政府の最高の意思決定機関は、総理や各大臣が参加する「閣議」です。ところが、「閣議」でのやり取りは、実は公開されていないどころか、その議事録すら作っていない状況です。これは、世界から見ても、あまりにいい加減です。同じ議院内閣制をとっているイギリスやドイツでは、「閣議」の内容は、30年後に情報公開されます。日本がこれまで、「閣議」の議事録すら作ってこなかったのは、明治維新の時代、山縣有朋・内務卿が、「議事録は、つくらなくて良し!」と決めてからであり、ずーっとそのまま変わっていないということです。
これについて、公明党の山口代表は、参議院本会議で安倍首相に質問をしました。現在の「閣議」の状況を改善すべきだ、情報公開すべきだと詰め寄りました。結果、安倍首相からは、具体的に改正に向けて検討を進めるする、との答弁を引き出したのです。
 このように、政府案を作成する自公協議の時からすでに、公明党は自民党に対して、かなり激しく議論をぶつけてきました。今回、法案を担当した温和な先輩議員が、官邸入りしている自民党幹部を怒鳴りあげて、ここまでの修正を差し込んできました。公明党が自民党に「追従している」というご心配は、まったくありません。逆に、自民党から見れば、あまりにうるさく、「簡単でない」連立パトナーだと思います。