【横田農場】大規模だから効率化、担い手不足だから農地集積、農業の目的が明確なら消費者の賛同、新しい農業が始まる。

 2013年農林水産祭の天皇杯を受賞した有限会社横田農場の代表取締役横田修一氏を訪ねて水稲大規模経営の先進的な成功事例を学ばせていただきました。
 天皇杯は、農水省と日本農林漁業振興会が優れた農林漁業経営者の活動を表彰するもので全国から優良492人が推薦され、中でも有限会社横田農場は最高位の天皇杯の栄誉となりました。
 代表取締役の横田修一氏は、38歳の若手経営者であり、茨大農学部を卒業して実家の水稲農家に就職し、キャリアは15年。その経営概要は、経営免責103ha、従業員14名、売上高1.1億円、経常利益1.1千万円です。農業の法人化と規模拡大は、後継者不足・担い手不足に悩む水稲農家の受け皿として必然の結果のようにも、また時代の趨勢のようにも思えます。
 しかし、横田社長のすごさは、経営面積103haを田植機とコンバイン各1台の設備でやり遂げるところであり、それは徹底した効率化と大規模である特質の最大化を実現したものです。田植えも稲刈りも各2ヶ月を、他種目の品種により作業を分散し、IT活用による圃場管理、農業実践の人材育成という大胆な発送の転換から実現されました。
 農家は、一軒一軒が自信を持って栽培し自身の作物が常に最高と信じてやみません。その中で、徹底して品種の特性を研究し仮に最高でなくとも全体として高品質な平準なお米をつくることは実に難しいことと思います。高品質高付加価値の発想からは生まれない経営方針であり、それでいて見事な品質が市場に受け入れられていることにすごさを感じるのです。
 加えて、「まだまだお米の魅力を日本人は分かっていない」「お米を身近に感じて欲しい」という最も大事な農家が何のためにお米を作るかが明確であることが伝わってきます。日本の農政がお米を補助金漬けにしてお米の持つ魅力を日本人から忘れさせたとすれば罪深いようにすら感じます。
 お米を身近に感じて欲しいと始まった米粉を使ったスイーツも確かな評価を得ているようですし、その目的がハッキリしてます。加えて、最もお米をおしく感じられる「田んぼの学校」は、田植えや稲刈りの後のおにぎりの美味しさに凝縮しています。
 まだまだ示唆的な話題が尽きませんが、高齢化や後継者不足に深刻な悩みを持つ農業が、間違いなくやる気と工夫のある青年の農家の夢を実現するチャンスとして捉えられることでしょう。そのフロントランナーが横田農場であると感じ取りました。
 

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