【安全保障】現場主義。リアリティのない集団的自衛権の安倍総理観念主義。

 今朝の朝日新聞の連載「政々流転」の記事、公明党山口代表についての署名記事を興味深く読みました。
 集団的自衛権における公明党のスタンスは、山口代表の安全保障観に集約されています。砂川事件の最高裁判決をして集団的自衛権につなげる無理を多くの国民が知っています。そして、記事の通り、集団的自衛権以前に日本の安全保障のあり方を本来は議論すべきだと思います。
 時あたかも国民投票条例により、18才からの若者の政治参加のスタートが端緒に就こうとしているとも言えます。山口代表と安倍総理のキャラクターの相違がすべてであるはずがありません。
 国民の望む日本の安全保障を国際関係の中からも本質を突いて学ばなければならないと思います。
 以下は、参考に朝日新聞の記事を載せるのですが、本当は如何なものかとも思いますので、「そのまま載せる」「問題あればすぐ削除」としていますので如何でしょうか。
 連載:政々流転
(政々流転)山口那津男・公明党代表 平和の党是、守る瀬戸際
2014年4月13日05時00分
 ◇山口那津男・公明党代表(61歳) 現場主義者、前のめりの首相と距離
 現場に赴き自分の目で見て、耳で聴く。弁護士として精緻(せいち)な法律の議論を積み重ねる。山口那津男(61)はいつもそうして政治家としての答えを見つけてきた。そんな山口には、安倍晋三首相(59)は自分と真逆にみえる。安倍が突き進む集団的自衛権の行使容認問題ではなおさらだ。安倍にブレーキをかけたいのだが。
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 山口は安全保障の専門家だ。衆院で初当選した1990年にイラクがクウェートに侵攻し、湾岸戦争が起きた。戦争終結直後、山口は公明党の仲間と私費で中東へ向かう。当時の日本は、130億ドルを拠出しながらも「カネしか出さないのか」と米国から批判を浴びていた。現場が何を欲しているのかを探す旅だった。
 クウェートに一人入ると、街にはロケット弾や戦車が散乱し、油井が燃え上がっていた。黒煙で日光が遮られ、気温は通常より10度以上も低かった。
 山口が日本で検討されていた機雷除去の掃海艇の派遣を持ちかけると、クウェートのサアド首相は「油田の火を消し、黒煙を取り除く技術と人がほしい」。帰国後、国会で黒煙の写真を掲げて専門家を派遣すべきだと訴えた。
 91年、和平が実現する直前のカンボジアにも赴いた。ここでも予想と違ってPKO(国連平和維持活動)への自衛隊を含めた人的貢献を求められた。
 山口はPKO協力法の成立に動く。自衛隊の海外派遣を認める法律のため、支持母体の創価学会は反対した。「自衛隊の施設部隊の力で道路を直すんです」。リアルな体験が説得の一番の武器だった。「国民を説得するには理屈や理念だけではダメ。現場の実情に即して、どう考えていくかも必要なんだよ」。だからこそ、集団的自衛権の行使容認を目指す安倍たちの言葉にリアリティーがないと感じる。
 安倍政権の集団的自衛権の議論で、山口が不満なことはまだある。
 「集団的自衛権が問題になった判決ではないじゃないですか」
 今月3日、山口は自民党の高村正彦副総裁らに詰め寄った。行使容認の根拠に、砂川事件の最高裁判決を持ち出した高村に反論した。山口からすれば、安倍政権は戦後70年近く積み上げた法解釈をないがしろにしている。
 山口は大みそかの大掃除で、障子を張り替えるのが恒例だ。手順はきちんと決めている。のりを丁寧に塗り乾かし、へりをきれいに切って、霧吹きで3回吹いて、白くたゆみなく張る。きちょうめんな山口だけに、安倍政権が行使容認を検討する手法も中身も粗雑に感じられ、なおのこと許せない。
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 創価学会での山口の評判は高い。婦人部には特に人気だ。順風満帆にトップまで上り詰めたと思われがちだが、96年、00年の衆院選小選挙区で2度続けて落選する。「政治の世界に戻ることはないと思った」。だが支援者の声に推され、01年に参院議員として永田町に戻り、09年に代表に。政界では一度「死んだ身」だからこそ、今年結党50周年を迎える「平和の党」の理念を守ることが自身の使命だと思う。
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 集団的自衛権の行使は武力行使だと山口は考える。自衛隊が犠牲になる可能性はぐんと高くなる。いずれ徴兵制度になるかもしれないとも思う。山口は「憲法改正が筋。国民に問わないといけない。政府が勝手に決めたなんて、到底許されない」「憲法改正のいとまはないから近道で解釈を変えちまえと。国民に気付かれないように密(ひそ)かにやってしまえという考えがもしあるとしたらダメだ」とまで言う。
 だが、こうした本音を安倍にはぶつけられない。1カ月に一度食事を共にするが、表面的な会話しかできない。ある公明党議員は安倍に「安保政策は誰と話したらいいですか」と聞かれたことがある。「山口代表と腹を割って話してください」と答えると、「やっぱり山口代表ですか……」。現場主義と観念主義。2人は水と油だ。
 いつまで粘れるのか。「政策的な意見の違いだけで(連立)離脱は到底考えられない」と山口自ら1月の時点で述べている。前のめりな政権に引っ張られるように、すでに集団的自衛権の自公協議は始まった。公明党が折れたのには前例がある。民主党政権下での消費増税の協議だ。増税反対だったのに、結局譲った。今回も時間の問題。政権の圧倒的多数はそう見る。
 何らかの歯止めをかけて存在意義を示したい。だがそれが何なのか、山口自身にも答えは見えていない。=敬称略
 (岡村夏樹)