救急搬送の高度化は常に新しいシステムの構築により達成されるもの思います。
特に、受入病院の選定が、タブレット端末の導入により、個別の受入打診から一覧性による受入先検討となることは救急医療情報システムの高度化と活用強化に繋がるものです。
以下は、埼玉県の事例を紹介するものです。28消防本部と救急車255台のタブレットが機能的に活用されている様が分かります。
埼玉県は救急患者を速やかに搬送するため、今年3月までに、新たな県救急医療情報システムが搭載されたタブレット端末を、県内の28消防本部と全救急車255台に配備。4月から新システムがスタートした。推進してきた公明党の石渡豊県議が先ごろ、熊谷市議会公明党の三浦和一、関口弥生、林幸子、守屋淳の各議員と共に市消防本部を訪問し、活用状況などを聞いた。
2013年1月、救急車で運ばれていた久喜市の男性が、25の病院から受け入れを断られた末に亡くなった。これを受けて県は、これまでの紙情報を基にして行っていた搬送先の選定方法を見直し、リアルタイムで全てのデータの閲覧・検索ができるように救急医療情報システムの機能強化を進め、タブレット端末の導入を推進してきた。
タブレット端末では、受け入れ可能な病院を診療科目や病名、症状で検索できる。また、照会した病院が受け入れできない場合には、その情報を救急隊員が入力することで、瞬時に他のタブレットにも反映されるほか、搬送実績についても共有できるようになっている。さらに、本庄市や児玉郡などの県北地域では、救急搬送先の約4割が群馬県であることから、群馬県とのシステムの相互運用が4月28日から開始されている。
県の担当者は、4回以上の受け入れ照会が全国平均を上回ることから、これを減少させ、少しでも早く患者を病院に搬送し、多くの命を救っていきたいとした上で、「一定期間後、各消防本部にヒアリングを行い、より良いシステムを構築していきたい」と語った。
◇
熊谷市消防本部を訪問した一行は、警防課の担当者からモバイル端末の使用方法や活用状況などの説明を受けた。
同消防本部には、救急車に7台、指令センターに1台の計8台が配備された。担当者は、熊谷市にある循環器科専門病院と連携し、モバイル端末から「12誘導心電図」を送信し、医師が直接見て緊急性を判断できる体制を整えたほか、外国人に対応するための翻訳アプリケーションや、イラストなどを指でさして症状を伝える救急コミュニケーションボードをインストールし、活用していると説明した。
また担当者は、聴覚障がい者から救急通報を受けて出動した際、救急隊員がコミュニケーションボードを使用したところ、「非常に有効で、今までより円滑に搬送できた」との報告を受けたことや、受け入れ病院の検索も救急現場で「有効に活用されている」と語った。石渡県議は「モバイル端末の活用事例を調査した上で、情報を共有できるような体制づくりに取り組みたい」と語った。
石渡県議は2012年9月定例会で、タブレット端末の導入を提案した上で、13年度末に更新時期を迎える救急医療情報システムについて、タブレット端末を活用できるシステムに改善することも訴え、粘り強く推進してきた。