【小規模企業振興基本法】販路拡大、新規事業展開、雇用の安定維持、起業・創業をバックアップ。

『政策を体系的に進めるための5カ年計画。重点施策を定め、販路開拓や起業・創業、地域産品の開発などを支援する。』
 Q 先の通常国会で成立した小規模企業振興基本法とは。
 A 基本法は、小規模企業の関連政策を国が体系的に進めるために5年間の基本計画を定め、商品・サービスの販路拡大や新規事業の展開を支援するものだ。施策の効果を毎年度検証し、計画の実効性を確保する。
 小規模企業政策を進めるに当たっては、単なる企業の成長だけでなく、技術の向上や安定的な雇用の維持などによる事業の「持続的発展」を進めることや、従業員5人以下の企業を新たに「小企業者」と規定し、特段の配慮をすることが基本原則に掲げられた。
 基本法と併せて改正小規模事業者支援法も成立した。改正支援法では、小規模企業に対し、全国の商工会や商工会議所が、事業計画づくりや実施などを支援する体制を整える。
 Q 基本計画の内容は。
 A 中小企業政策審議会が17日、経済産業相に答申した基本計画案では、
 (1)需要を見据えた経営の促進
 (2)新陳代謝の促進
 (3)地域経済に役立つ事業活動の推進
 (4)地域ぐるみで総力を挙げた支援体制の整備――
 を目標に設定。新陳代謝の促進では、起業・創業や第2創業の促進、事業承継によって、地域経済社会の発展に結び付けるとした。事業継続が見込まれない場合は、事業廃止を円滑化して、再チャレンジに向けた環境を整備する。
 また、目標実現に向け、10の重点施策を掲げた。例えば、商談会の開催やアンテナショップの整備で販路開拓を後押ししたり、先輩経営者の実例を学ぶ機会の提供で起業・創業を支援したり、地域産品の開発支援などを進めていく。基本計画は近く、閣議決定される予定だ。
 Q 対策が取られた背景は。
 A 小規模企業を取り巻く環境は依然として厳しいからだ。小規模企業は「従業員数が20人(商業やサービス業は5人)以下の事業者」と定義されるように経営規模は小さいが、全国に約400万社ある中小企業のうち9割を占める日本経済の支柱である。
 貴重な雇用の受け皿でもあり、地域経済を支える小規模企業の振興なくして本格的な経済再生は望めない。