山口公明党代表の夕刊フジのコラムが掲載されました。
コラムは、自身の政治経験から「自衛隊のあり方」を3度論じることになったと述べ、①PKO協力法、②有事立法、③今回の法制整備をその意義を掲載しています。
そして、専守防衛と国際貢献のあり方を論じて、政府と国会の責任により歯止めをかけたことを書かれています。
安保法制に「戦争法案」のレッテル
掲載記事2015年05月21日 (木曜日)
〜政府と国会が責任もって払拭〜
政府は先週15日、25回に及ぶ与党協議の結果を受けて、安保法制に関連する2本の法案を閣議決定し、国会に提出した。1990年の初当選以来、私の政治経験のなかで「自衛隊のあり方」を論ずる3度目の大きな機会となる。
初当選してまもなく、イラクのクウェート侵入から湾岸戦争が起こった。冷戦終了後、世界は地域紛争を止め、予防する国際協力を模索した。
日本は、自衛隊を含む国際貢献としてPKO協力法を成立させた。国際社会が軍隊を含めた役割分担で協力していくなか、日本は自衛隊を一切関わらせないという一国平和主義をとらず、武力以外の能力は活用していこうという「国際協調の道」をとることとなった。
このとき、一部の野党やメディアは「戦争に巻き込まれる」などと声高にレッテルを貼ったが、今日、日本のPKO協力は、世界からも国民からも高い評価を得ている。
2度目は、今世紀初めの「有事立法」のときだ。自衛隊発足後、日本に武力攻撃があった場合、どのような基準と手続きで自衛隊を使うかという有事立法は長らく作られなかった。圧倒的な米軍の力に頼って、自衛隊を動かして「日米安保」を機能させる切実感が乏しかったともいえる。
しかし、弾道ミサイルや核開発を進めて、実際に、日本に向けてミサイルを飛ばそうとする近隣国が現れてきた。自衛隊は、力の空白を埋めるだけで役割を担っていた時代から、有事に動かして日米安保が機能する仕組みを整えることで、「抑止力」を備える時代に転換した。
今回は、弾道ミサイル開発などがさらに進み、国を選ばないテロの犠牲が日本人にもおよび、経済力を蓄えた国々の軍事力を示す行動が活溌になる現実に対応した、「抑止力」の備えと、「国際協力」の仕組みが必要とされているのである。
公明党は与党協議で、専守防衛の基本姿勢を守り、武力行使を日本防衛に限定した。国際貢献は、武力行使や武力行使と一体となる活動を禁じて、自衛隊員の安全を確保し、国際ルールにのっとって参加する判断を政府と国会が責任をもって決める歯止めを設けた。
「戦争法案」や「戦争に巻き込まれる」という批判は、またしても国民の命や平和な暮らしを脅かす現実に、政府が責任を持つという憲法の精神を省みないレッテル貼りなのである。
このたび、「大阪都構想」が住民投票で否定された。市長と議会の対立の繰り返しを、大阪市民が住民投票で自ら出した結論は尊重しなければならない。生き残った政令指定都市「大阪市」をどうするかは、賛成票に込められた思いもくみ取る必要がある。
国政課題での合意形成は、与党として幅広く努力することに変わりはない