高齢者の生きがいづくりに役立ち、介護保険制度の支えにもなる介護支援ボランティア制度を導入する自治体が増え、新しい試みとして注目を集めている。制度のさらなる普及や拡充を、間近に迫る地方議会の12月定例会でも訴えていきたい。
介護施設などでのボランティア活動に対し、商品との交換や換金ができるポイントを付与する同制度は、全国に先駆けて東京都稲城市が2007年に始めた。実施予定を含めると制度を導入した自治体は268に上るという。
ポイント制度は、高齢者の社会参加につながるため、高齢者の孤立感を防ぎ、住民同士の交流の多い地域づくりが進むことが期待できる。制度の利用者には、長年の会社勤めで地域と疎遠だった人もいるが、「地域活動に参加するきっかけができた」と評価されている。
近年は、高齢になっても心身ともに健康な人は多く、介護サービスを必要としない人の中には、保険料負担の軽減を求める声は少なくない。こうした高齢者のニーズ(需要)を満たすためにも、ポイント制度の効果は大きい。
ポイント付与の対象を65歳以上などとする自治体が多い中、神奈川県山北町は10月から小学生以上を対象とする制度を始めた。想定される活動は通学時の要介護者宅のごみ出しや、休日の買い物の手伝いなどだ。子どもたちの情操教育に役立つとみられるほか、介護への関心を高め、将来的な介護の担い手育成につながるものとして多くの自治体が関心を寄せている。
また、介護サービスを使う高齢者が少なくなれば、自治体の介護保険財政の健全化につながる。そこで岡山県総社市は、高齢者の健康増進のため、国保加入世帯を対象に保険が適用される診療を1年間受けなかったことなどを要件に、国保財政から年1万円を対象世帯に支給している。
高齢化の進展に伴う介護需要の増大は、わが国が直面する重要課題の一つである。高齢者の健康づくりを促す取り組みを国や自治体は積極的に検討していくべきではないだろうか。