自民、公明の与党両党は16日、衆院第2議員会館で政策責任者会議を開き、2017年4月の消費税率10%への引き上げと同時に導入する軽減税率の制度設計、自動車の車体課税見直し、法人税改革などを柱とする16年度税制改正大綱を正式に決定した。これに基づいて政府は、来年の通常国会に税制改正関連法案を提出する。同会議では、1億総活躍社会の実現へ経済再生や子育て支援、社会保障の基盤強化に重点を置くとした16年度予算編成大綱も決定した。これに先立ち公明党は、政務調査会全体会議・部会長会議と税制調査会総会の合同会議を開き、両大綱案を了承した。
2016年度税制改正のポイント税制改正大綱で示された軽減税率の制度設計では、酒類や外食を除く食品全般と「定期購読契約が締結された週2回以上発行される新聞」を対象品目とし、軽減税率は8%。「書籍・雑誌」については、日常生活における意義や有害図書排除の仕組みの構築状況などを総合的に勘案し「引き続き検討する」とした。
事業者の経理方法については、21年4月から適格請求書等保存方式(インボイス方式)を導入するものの、それまでの4年間は、現行の請求書等保存方式を基本的に維持した簡素な方法を用いる方針を示した。
その上で、軽減税率導入に当たって混乱が生じないよう「政府・与党が一体となって万全の準備を進める」とした。
軽減税率導入による減収を補うのに必要な財源(約1兆円)に関しては、「『社会保障と税の一体改革』の原点に立ち、16年度末までに歳入および歳出における取り組みにより、与党の責任において、確実に安定的な恒久財源を確保する」と明記。財政健全化目標は「堅持する」とした。
また、消費税率引き上げに伴う低所得者対策として軽減税率を選択した理由について、「他の施策と異なり、日々の生活において幅広い消費者が消費・利活用しているものに係る消費税負担を軽減するとともに、買い物の都度、痛税感の緩和を実感できる」とした。
一方、公明党の山口那津男代表は、党合同会議で、軽減税率をめぐり与党で合意し、税制改正大綱が取りまとめられたことについて「与党間で丁寧かつ真摯に民意をくみ取った最善の結果になった」と強調。大綱に沿ってまとめられる16年度税制改正関連法案や同予算案について、年明けの通常国会で「(3月末までの)年度内成立を期したい」と述べた。