浜岡原発停止から、治世産業の未来は見えるのだろうか。

菅総理の浜岡原発の停止要請は、国民や地元住民の原発に対する不安を背景に、その払拭に応えたと言えるものですが、一方で①法的根拠がない ②説明不足に大きな問題を孕みます。
 浜岡原発がダメで、他は良いと単純に言えるほど簡単な事案ではありません。国のエネルギー政策をも無視したとすれば一時の結果オーライではいけないと思います。国はもっと議論すべきです。
 公明党は、特別委員か会の設置を求め、今日はその方向にあるようです。国の命運を決めるかもしれない判断は、総理の専決ではないと思います。エネルギー問題は、企業立地を含め、まさに治世産業の問題と考えます。
 以下、公明党山口代表の記者会見を記します。
 公明党の山口那津男代表は10日午前、国会内で記者会見し、東日本大震災の対応を国会で常時議論するため、衆参両院に特別委員会を設置することを提案した。また、菅直人首相の要請を受け入れ、中部電力が浜岡原子力発電所(静岡県御前崎市)の全面停止を決めたことなどについて、大要次のような見解を述べた。
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 一、浜岡原発の立地状況からすると、東海地震や津波に対する国民の強い懸念があったことは事実であり、政治が不安や懸念を払拭する対応を検討する姿勢は重要だ。しかし、首相が突如、(記者会見をテレビ中継して)発表したことについては警鐘を鳴らさなければいけない。
 一、まず首相の発表は、あまりに唐突で説明不足の印象だ。中部電力や大口使用の事業者、関連する中小企業やそこで働く従業員、一般家庭、関係自治体、他の電力会社やその他の原発立地地域など、さまざまに影響が及んでいく。これらに対する政府の配慮、説明が全く十分でない。
 一、民主党政権や菅内閣は(新成長戦略の柱として)日本の原発システムを外国に(売り込みを)推進してきたが、政権のこれからのエネルギー政策の考え方が整理されないまま、突如あのような要請をしたことも大きな疑念を呼んだ。また、大きな地震の可能性や(敷地内の)活断層の存在は、かねてから議論、指摘されていた。なぜ、各方面へ調整もせず、あのタイミングで発表しなければならないのか。
 一、首相は法的根拠がないことを知りながら要請している。営業の自由や基本的人権にかかわる制約をする場合は、立法府(国会)の意思に基づいて行政が行うのが法治主義の原則だ。法的根拠のないことを自らの判断で行うことには、大局的に見ると危惧を感じざるを得ない。「政治主導」に名を借りた、誤った行政権の独断専行と言わざるを得ない側面もある。
 一、こうした対応は東京電力福島第1原発事故の対応にも見られる。菅政権の暴走とも言うべき行為に対して、立法府としてしっかりチェックし監視を強めていかなければならない。衆参両院に原発の対応を含め東日本大震災に関する特別委員会を設置し、常時議論する体制を整え、行政権を厳しくチェックし監視する機能を高めることを提案したい。復旧・復興を切れ目なく国会が監視し提言していく場とすべきだ。
 一、(結果として浜岡原発の停止が決まったことについて)住民や国民が指摘する危機への懸念が払拭される点は、一定の評価がなされるべきだが、結果が良ければ、どういうやり方も許されることにはならない。
 以上のように、国は立法府の役割を真剣に果たして欲しいと強く言いたいと思います。