【ネット選挙】定着したインターネットの選挙活用、今後は双方向の議論の場として深化も必要。

 インターネットを利用した選挙運動が導入されて3年が経過。7月の参議院選挙でも活用され、特にインターネット世代の18歳選挙権の導入とネット選挙も十分に考慮しなければなりません。
 そこで、「ネット選挙」現状と課題について、公明新聞掲載された西田亮介東京工業大学准教授のインタビューを掲載します。
有権者への制約見直し必要
―インターネットを活用した選挙運動の現状をどう見るか。
西田亮介・東京工業大学准教授 4月に実施された衆院北海道5区の補欠選挙などでも使われており、だいぶ定着したと思う。効果のほどは分からないが、「やらないといけない」という規範が政党や政治家に根付いたのではないか。
―課題はあるのか。20160524_8_1[1]
インターネットを使った選挙運動で可能な情報発信西田 そもそも制度がバランスの悪いつくりになっている。ネットではいろいろできるのに、なぜポスターの枚数制限を残しているのか。電子メールは使えないのに、なぜフェイスブックやライン、ツイッターはいいのか。一般的なユーザーから見ると、ラインと電子メールは機能的にはほぼ同じなのに、実効性に疑問符がつく規制が残っていることに違和感を覚える。
有権者、政党、候補者のうち、有権者が最も制約が多いのも変だと言わざるを得ない。政治家が有権者の中から選ばれるのだとすると、候補者が有権者より広い範囲で情報を扱えるのは原則論としてはおかしいし、政党や政治団体がその上位に来ているのも疑問だ。このように実効性や合理性に疑義がある制約が残っているので、公職選挙法全体を見直していく必要がある。
現在、ネットとテレビの連動などメディアの性質が“相互乗り入れ”であることを踏まえると、公選法だけでなく、放送法や政治資金規正法など関連する法律を横断して、そもそも日本の選挙はどうあるべきかという議論も必要ではないだろうか。
生活者が政治を学ぶ機会少ない
―現状は有権者と候補者のコミュニケーションが双方向になっていないと。
西田 阻害要因の一つとして、政治家には、ネットに限らず有権者と闊達に意見交換や情報交換をするインセンティブ(誘因)があまりないことだ。
有権者について見ると、政治教育が十分になされていないのも問題だ。有権者が政治のあり方や仕組みを知るのは、高校1年の時に現代社会で学ぶのが最後だ。政治教養講座を学んだり政治学部に進学した大学生は違うと思うが、大半の人は15、16歳の時以降は政治の考え方に触れる機会はない。
中でも、政局を理解するための考え方を学習する機会が、日本の教育でほとんどないことは由々しきことだと思う。
そもそも、生活者は政治を学習する機会が少ないわけだから、国会の議席数はどうなり、議席が変わることでどう政策が変化するかといったことが分かりにくい。そうした観点で、有権者が政治を理解して考えるための機会を社会の中にもっと埋め込む必要がある。
公明 より広範なアプローチを
―公明党のネットを含めたメディア戦略をどう見ているか。
西田 公明党はいろいろな意味で「中道」であり、「大衆福祉」は日本の生活者が求めている政策だ。世論調査の結果もそうなっているから「大衆福祉」を良くしていくことは共感できる。若者対策でも、若年世代の就労支援や生活困窮者自立支援法の動きなどを見ていると、公明党は重要な仕事をしている。
公明党は2013年の参院選の時、ラインのフォロワーが政党の中で一番比率が高かった。公明党のように一定の支持層が明確な場合、密なコミュニケーションが可能なラインを使っていくことは戦略的には合理的だ。ただ、対外的な広報という観点で見ると、動画やウェブを使った広報をどう支持層以外の人に伝えていくかが課題だ。
もう一点は、公明党の場合、いろいろな誹謗中傷、ある種の風評被害みたいなものもあるから、そういったものに対応していくアプローチもあってもいいと思う。ウェブでQ&A方式などで対応したり、党でオーソライズ(承認)した情報を発信していくことが重要だ。
―18歳選挙権が導入される中、若者の政治に対する関心を高めるための方策については。
西田 二つある。一つは被選挙権年齢を引き下げ、投票権年齢と被選挙権年齢をそろえる方が良い。もう一点が供託金の問題だ。本当に若年世代の政治参加を促したいのなら供託金をやめるか、金額を下げるか、または若年世代や女性といった枠を設けるような対策を講じてもいいと思う。

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