昨日、茨城県議会最終日の本会議終了後に、実際に原発開発に技術者として関わり、定年退職後も原発の品質管理をされている方のお話は、今後の原発の安全基準、いや安全運用のうえから示唆的でした。
①原子力保安院は、津波対策等の指示をしているが、その中身は具体的な安全基準等の数字で表すものが綯い。例えば、電源車を準備したかを聞くが、何処におくかを聞かない、更には、それは何mの位置にあるべきかの指示をしない。それでは、安全対策指示ではない。
②つまり、再開を前提としたアリバイ作りであって、原発事故の要因分析に基づかない指示である。
③本質的な問題として、原発は津波が原因で、電源喪失し、シビアアクシデントになったのだろうか。本当に地震によって、原発の構造の一部が損傷しなかったと言えるのだろうか。ここが明確でなければならない。
④原発の仕組みの安全性が問題なのだ。原子炉とタービンの一体型の沸騰水型原子炉は、放射能汚染された水蒸気でタービンを回す。要は、原子炉の破損とともにタービンの損傷も重大な事故と言える。これは構造的な問題だ。
以上が、聴き取らせて頂いたポイントと思います。
さて、公明党は、今日21日付けの公明新聞の主張の欄で、「原発の安全対策、国民の不安を取り除け、地震による破損の点検が必要」を掲載しています。
原子力発電所の安全対策について政府が、ちぐはぐな言動を続けている。
東京電力福島第1原発の事故原因が解明されていないことは、国際原子力機関(IAEA)閣僚会議(20~24日)に提出した政府報告書も「事故報告書としては暫定的なもの」であると認めている。
ところが海江田経産相は18日、福島第1原発と同様の事故を防ぐための安全対策が全国の原発で実施されたとして、現在、定期検査などで停止中の35基の原発の再起動(再稼働)について「安全上支障がない」とする談話を発表した。
政府として暫定的な事故報告しか出せない段階で、なぜ経産省は「安全」と宣言できるのか。
さらに談話は、停止中の原発が再起動できないと「電力需給が逼迫する」などと述べ、「わが国経済の今後の発展のためにも、原子力発電所の再起動を是非お願いしたい」と結んでいる。安全よりも経済優先であるかのようだ。
さまざまなメディアが福島第1原発の事故後に行った世論調査でも明らかなように、原発の即時廃止を求める声は少ない。国民は今、原発の存在と真摯に向き合い、原発のリスクを冷静に見極めながら、将来のエネルギー供給の在り方を真剣に考えようとしている。
この時に必要なことは、国民が求める安全・安心につながる、しっかりとした調査と確かな情報の開示である。
公明党が17日に政府に申し入れた原発事故に関する緊急提言(第5次)は、そのためにまとめられた。
公明党は3月11日の事故発生後、どの党よりも早く全国の原発の緊急総点検を政府に迫り(3月25日)、津波対策と、原子炉が緊急停止した際に炉心を冷やすために必要な外部電源の確保などについて調査するよう求めた。
政府は3月30日に原発の事業者に点検を指示、今月7日までに結果を公表したが、その間、事故直後に炉心溶融が起こっていた事実を2カ月もたって公表するなどの失態を演じた。さらに先月16日、「津波で被害を受けたが地震では問題なかった」としてきた政府見解と異なり、地震で外部電源供給の基幹設備が破損していた事実も判明した。
このため緊急提言は、地震による破損などの調査を原子力安全・保安院だけでなく原子力安全委員会も含めた政府全体の責任で行い、結果を国会に報告するよう求めた。
政府の安易な安全宣言は“安全神話”の再生産であり、国民の信頼を失う。