【東海第2】原発立地地域の現実を直視し、再稼働・廃炉、日本原電㈱、エネルギー政策、使用済核燃料、地域振興を決意する時が迫る。

 4月10日、公明党茨城県議団は、東海村に村上達也村長を訪問して、去る4月4日に村上村長が枝野幸男経済産業大臣に提出した「意見・問題提起」について、 その大意と背景等をお聞きしました。
 これには、東海村公明党の岡崎市議・植木市議も同席して、あらためて村上村長の東海第2原発への考え方と今後の方針を確認する機会となりました。
 この村上村長の「意見・問題提起」は、既に井手県議のブログにいち早く掲載されていますが、私もまた、私自身のブログに留めるために掲載したいと思います。
 それは、僭越ですが、原発立地の自治体の長として、ましてや福島第1原発事故を目の当たりに、かつ同様な原発事故に近接した状況を考えれば、本当に具体的に東海第2原発と地域を考え抜かれたものと思うからです。
 村上村長は、現在の東京電力は企業として成り立っていないと見抜いています。つまり、社債の引き受け先もなく、LCの開設もできないとなれば、同社の資金繰りは既に破たんしていることが明白だということです。
 私も全くの同意見です。今の東電は、独占寡占の中で電力需給の役割の上で存在しており、もし今後の設備投資ができるとすれば、悪名高い「総括原価方式」故のことにすぎません。それは、先の大戦に向かう日本の政治が「国策」と言って国民を欺いたことに近いものがあります。
 更に、村上村長は、既に東電は新規原発設置はしないと企業家の立場からの見解も述べました。このエネルギー問題こそが、今後の東電(私は東電でなくとも可ですが)の方向性と言うことです。
 その上で、東海第2は日本原電㈱の原発であることを明確に意識して日本原電㈱の再構築に言及しています。
 更に、東海村の構想する「原子力センター構想」を提示して、原子力開発における東海村のあり方を提案しているものです。
 この懇談で印象に残ったことは、一つは「原発の廃炉の問題は
、世代の問題」ということ。二つ目は「使用済核燃料の保管処理に対する現実的な対応」と言うことです。
 そして、東海第2の「永久停止と廃炉」の決意こそ、全てのスタートとなるとの強い決意と行動をお話頂きました。
 東海村の皆さんの東海第2に対する見解は、現在二分されているようにも見えます。原発立地自治体の深い悩みは、現地にすまない私が分からないことかもしれませんが、いずれは大きな決断が必要でしょう。私自身は、まずは、「再稼働を急がない。またはしない」そして、「廃炉等、今後のロードマップ」を策定することが大切ではないかと思います。これからの科学技術は原子力を越えられるのだろうかを忸怩たる思いで考え、これからの意思決定をしていきたいと思います。
                      意見・問題提起
 政権の中枢にあって日夜国家国民のためにお働き頂きありがとうございます。そのようなご多忙極まる中、時間を割いて頂き真に感謝にたえません。
 さて、私は福島原発事故発生以後、村民の命そして故里を守るためには、東海第二原発と今後どのように付き合い対処すべきかを考え続けてまいりましたが、その結論は言うまでもなく、福島の二の舞は絶対に避けなければならないということであります。
 日本原電は津波対策、電源確保対策等の強化を図っています。それ自体は評価できますが、根本的に原発事故を防止するにはそれでは十分とは思われません。問題は、政府や電力業界の考え方や姿勢にあるのではないかと思量されます。これが改革されない以上、私たち村民はおろか、周辺自治体の住民の安全は確保されないとの結論に至りました。
 そこで、私の意見・問題提起を以下のとおりまとめましたので、ご検討のほどお願いいたします。
 平成24年4月4日
経済産業大臣 枝野 幸男 殿
                                    東海村長 村上 達也
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Ⅰ.東海第二原発は永久停止、廃炉にしてもらいたい。
・日本原電(株)の東海第二原発は、全国の原発の中で最も人口密集地帯にあり、しかも茨城県の産業、行政の中心地にあり、福島の如き事故が生起した場合の被害は天文学的。
・30Km圏100万人の避難は現実的に困難。
CF:茨城県知事の県議会答弁「県内にあるバスを総動員しても1回に24万人しか搬送できないため、一斉に避難させるのは不可能」
・小さな日本原電(株)の賠償能力にいたってはないに等しい。
・茨城県沖を震源とする大地震・大津波の発生可能性の指摘あり。
・しかも運転開始後34年目の老朽原発。
 ⇒以上は、東海第二原発と同じく1978年に運転を開始し、既に廃炉を決めた浜岡2号炉と同じような状況。
・3/23現在、茨城県内11の市町議会と5人の首長が廃炉を要求している。
Ⅱ.「脱原発依存」政策の行程表、そして廃炉基準を早急に明示願いたい。
・「原子力発電への依存度をできる限り低減させること」との国の基本方針を早急に具体化し、原発の数を漸減させる計画を明示していただきたい。
・その際、老朽化の度合いや立地条件(地震・津波などの自然条件、人口密集・社会経済の中心などの社会条件)を総合評価し、リスクが高く地域住民が容認できないものから廃炉すべきである。
・これらは、立地地域自治体にとっても重要関心であり、さもないと住民への説明、将来設計ができない。
・廃炉によって、多くの立地地域が短期的には財政的に大きな影響を受けるので、緩和策として、過去の「旧産炭地振興臨時措置法」のような支援策を考えてはどうか。
Ⅲ.「脱原発依存」政策の推進のためには、エネルギー政策の中での原子力の位置付けを「基幹電源」から「補助電源」へ変更すべきである。
Ⅳ.責任の所在が不透明な国策民営の原発政策から、国が法律上責任を持つ事業体制に改革するため、日本原電(株)の再構築が必要。
・「脱原発依存」や核燃料サイクルの凍結、そして何よりも原発のリスクの甚大さを考えれば、もはや、原発は通常の民間事業では成立し得ない。電力会社の都合にあわせた総括原価方式による国民へのコスト転嫁も、もはや許されない。
・日本原電(株)は、原発のパイオニア企業として設立されたが、敦賀1号炉は42年を経過し廃炉は必至、3、4号炉の増設も困難。今の姿での存続は難しい。
・原発の安全性を可能な限り高めつつ「脱原発依存」政策を遂行するため、国が原発経営に一定の関与をする法律を制定し、全国の原発の運転や廃炉、使用済燃料の貯蔵、放射性廃棄物の処理等を日本原電(新生「げんでん」)に集約してはどうか。
Ⅴ.JAEA核燃料サイクル工学研には高レベル放射性廃液が約400m3 あり、東海第二原発の建屋内の燃料貯蔵プールには2,000体の使用済核燃料が保管されている。これらの安全対策に万全を期すことは勿論、ガラス固化や乾式キャスクへの収納を早期に進めるとともに、これらの最終的な処理処分の方針を明らかにしてもらいたい。
Ⅵ.東京電力の解体、発送電・配電分離を早期に具体化することが、日本のエネルギー政策改革のキーポイントである。明確なご判断を願いたい。
・東電の電気料金値上げ要求は、従来のままでは受け入れがたい。
Ⅶ.東海村が構想している「原子力センター構想(仮称)」へのご理解とご支援をお願いしたい。
・“東海村らしさ”(パイオニア、大事故を経験)を活かした、原子力に関するサイエンスと人づくり等の拠点として世界に貢献する「COE」を目指す。
・原子力科学の新たな展開、原子力安全・福島貢献等の負の課題の解決の先導、これらを支える人材育成と国際的なまちづくりを進めていく。
                                              以上
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