【消費増税】「給付付き税額控除」、社会保障と税の未来図の中で、納税捕捉システム導入が急務。

 消費税の逆進性の解消には、先日掲載した「軽減税率」があるとともに、野田内閣が検討するとしている「給付付き税額控除」があります。
 今回は、この「給付付き税額控除」について記載したと思います。
 世界では、カナダやシンガポール、ニュージーラント゛で導入して逆進性対策としているようです。この日本ではなじみのない「給付付税額控除」は、言い換えれば「消費税負担分を低所得者に還付する制度」と言えます。
 カナダでは、3万カナダドル以下の低所得者に対して、必要最小限の消費支出に架かる消費税相当額を、家計調査から計算して、所得税の体系の中で税額控除し還付しているそうです。
 それでは、日本での考え方はというと、最大の課題は、給付対象が誰かを正確に把握するシステムに欠けるということでしょう。
 また、全体として諸給付の基礎を「世帯」におくことが多い日本では、生計を維持する正確な世帯の実態把握にいつも問題が発生します。
 日本人は正確性を大切にしますから、この「給付付き税額控除」は、受け入れやすいと思うものの制度設計の巧拙が本当に難しいと思われます。
 例えば、「所得300万円以下の世帯に10万円を定額で給付する」となれば、ざっくりと300万円家庭の基礎的食料等支出は100万円として、引き上げ後の消費税10%を乗じたものと説明できます。
 
 しかし、このざっくり感は、入口の論議としては可と思いますが、この財源とは何かを含めて議論のあるところです。現在のの国税当局は、課税最低限以下の納税者の情報や世帯の情報を持ち合わせません。
 結果としてタダでさえ事務負担大とされる本事務は、この事務負担は地方に押し付けられる可能性があります。
 この税額給付の形は、ワーキングプア対策や少子化対策としても応用の可能性があります。そして、入口に納税捕捉のシステムの拡大整備が必須と言えましょう。
 それにしても「社会保障と税」は一体的に、まさに総合的に位置づけしなくてはならないことが明白です。社会保障の未来図を責任ある態度で国民に示すことが肝要だと改めて述べたいと思います。