生活保護の一歩手前のセーフティネットには、社会福祉法人茨城県社会福祉協議会の行う「生活福祉資金貸付制度」があります。
本制度は、低所得世帯や障害者世帯、高齢者世帯を対象に、低所得世帯では、生活支援費や住宅入居費、壱時生活再建費を「総合支援資金」として。また、各世帯とも福祉費や緊急小口資金を「福祉資金」として。更に、低所得世帯の教育支援資金があります。
このブログは、更に生活福祉資金のメニューの中の「不動産担保型生活資金」について書こうと言うものです。
同資金は、ともに自宅を担保として毎月の生活資金を支援するものです。
更に、低所得高齢者世帯には、「不動産担保型生活資金」、もう一つ、要保護高齢者世帯向けに「要保護世帯向け不動産担保型生活資金」があります。この違いは、「要保護」にありますが、保護の緊急性や必然性から若干の条件の相違に留まります。
この不動産担保型の融資形態は、「リバース・モーケ゜ージ」と言われるもので、「土地等不動産に抵当権を設定して融資し、契約修了時に不動産売却で返済する」と言えるものです。
リバース・モーゲージのの利点は、
①土地売却等が先行する資金調達ではなく、将来にわたり住居にすみ続けながら資金調達できる。
②毎月一定額が振り込まれるため生活設計しやすい。
③この間元金の返済や利息の支払いはない。
などです。
その意味からは、自宅不動産を所有するものの高齢者になり生活資金に不足し、将来不動産を継ぐ者がいない場合は有効な制度と言えましょう。
しかしながら、使い勝手は良いとは言えません。現在、茨城県で10件の実績しかないという現状です。
まず貸し付け対象が狭い範囲です。
①借入申込人単独、または同居の配偶者と共有している、自らが居住する不動産。
②この不動産には、所有権やその他の権利につき、差押や賃借権、抵当権等の設定がない。
③申込者世帯後世は、申込人と配偶者、またはその親以外の同居人はいないこと。
④世帯構成員は、65歳以上。
⑤同世帯は、市町村民税非課税世帯と程度の低所得者であること。
⑥担保となる自己居住不動産の土地評価が1000万円以上。
そして、貸付内容は、
①月額30万円以内。
②貸付限度は、土地評価額の、70%まで。
③利率は、年3%、又は毎年4/1現在長プラの低い方で定められて利率。
④危機感は、貸付元利金が貸付限度額に達するまで。
⑤契約終了は、一般的に死亡による。
以上です。
これは、難しい条件で拡がらないなと思いました。
まず年齢の65才の所に、生活困窮の実態があるのだろうかと考えます。それは生活保護の受給実態を見れば明白です。
また、不動産があることで生活保護対象とならないことに対して、一定の効果を認めますが、使い勝手が゛悪い制度に思えます。
いずれにしても、生活困窮者の幅は、年齢を問わずに拡大しています。不動産がありながら、売るにも売れない不動産が、生活保護の行く手を邪魔するのはスッキリしません。そして、契約終了時の不動産処分の難しさを思うばかりです。
ともあれ、国は、「リバース・モーゲージ」の普及に努力したいとしています。
この制度が広まることが不動産の流動化に資するかどうか、または不動産に対する国民の概念を変えようとするのかを十分に検討する必要があります。