障がい者就労施設などからの商品購入、業務委託を優先的に行うよう国や独立行政法人に求める「障害者優先調達推進法」が、6月20日の参院本会議で全会一致で可決、成立しました。
同法は自民、公明の両党で2008年に提出し、廃案となった「ハート購入法案」をほぼ踏襲した内容です。その目的は、障がい者の就労機会を増加させ、自立を促進するもので、、来年4月から施行されます。
現在、福祉施設で事務用品を作ったり、公園の清掃をしたりして働く障がい者は増加傾向にあるものの、景気の低迷によって民間企業からの仕事の依頼は減少しています。
さらに、国などが商品購入や業務委託をする際は競争入札による契約が原則のため、民間企業に比べて競争力の低い障がい者就労施設が契約するのは難しい状況があります。実際、2009年に国が障がい者就労施設などと契約した金額は総計で3億円程度にとどまっている現状です。
このため、同法では国などに対し、障がい者就労施設や自宅で働く障がい者への仕事の発注増加を求めるとともに、毎年度の調達目標と結果を公表するよう定めものです。
また、国が競争入札を行う際の業者の参加条件として、障がい者の雇用率や障がい者就労施設との取引状況を考慮することも盛り込みました。
一方、地方自治体と地方独立行政法人には、障がい者が働く施設への受注機会を増大するよう求めているほか、商品と業務の質を向上させるため、施設同士の連携や協力も推奨しています。
公明党は、党障がい者物品等優先購入法検討ワーキングチーム(WT、山本博司座長=参院議員)が中心となり同法の成立を一貫してリード。障がい者の就労現場を視察して国会質問で取り上げるなど、障がい者の雇用拡大や労働条件の向上に力を注いできたことが法の制定に繋がったものです。
全国社会就労センター協議会の近藤正臣会長は、次のように語っています。
「障害者優先調達推進法の成立へ、中心となって尽力していただいた公明党議員に感謝します。障がい者の就労支援に携わる関係者一同にとって大きな喜びであり、全国社会就労センター協議会としても結成から35年にわたっての悲願でした。
同法が障がい者の自立促進や賃金アップにつながればと思います。また、国が行う入札への業者の参加条件に障がい者施設との取引状況などが盛り込まれたことから、民需の開拓にも期待しています。われわれとしては、来年4月の同法施行に向けて早急に啓発活動に取り組んでいきたい。公明党には、今後も障がい者が安定的に働ける環境作りを進めるとともに、景気の回復や円高の解消にも力を入れてほしいです。」