今日、茨城県議会平成25年第2回定例会が開会されました。期間は、18日までの14日間、補正に係る審議はなく知事から提出された議案は、条例と報告です。
その中でも職員の給与に係る条例の一部改正する条例があり、国の要請を受けて県職員の給与を7月1日から来年3月31日までの9か月減額することを審議致します。
私自身は、6月11日(火曜日)午後2時10分から、一般質問を行う予定です。
以下ね本日の橋本知事の知事提案説明要旨を掲載します。
知 事 提 案 説 明 要 旨
平成25年第2回県議会定例会の開会に当たり,提出いたしました議案等の説明と報告を申し上げます。
(J-PARCハドロン実験施設における放射性物質漏えい事故について)
まず、5月23日に日本原子力研究開発機構東海研究開発センターの大強度陽子加速器施設J-PARCハドロン実験施設で発生した放射性物質漏えい事故についてご報告申し上げます。
放射性物質が管理区域外に漏えいするとともに、放射線業務従事者34名が被ばくするなど、今回の事故は,県民の皆様に大きな不安を与えたところであり、誠に遺憾であります。
さらに、県に対する連絡が一日半近くも遅れるなど,緊急時の通報連絡体制についても,大きな課題となっているところでございます。
県におきましては,通報を受けた翌日に,原子力安全協定に基づき,関係市町村とともに実験施設の立入調査を実施いたしました。この調査により,実験装置の誤作動により放射性物質が漏えいしたこと,その後,排気ファンを作動させ管理区域外に放射性物質を拡散させてしまったことなど,不適切な対応が重なったことが判明いたしました。また,加速器は安全に停止し今後の事象の進展はないことを確認したところです。
今月3日には,J-P AR Cを運営する高エネルギー加速器研究機構と日本原子力研究開発機構に放射性物質が加速器施設外へ漏えいした原因の徹底究明,再発の防止と施設の安全対策に万全の措置を講ずること,職員等への十分な教育訓練の実施,連絡体制の改善などを要請したところであります。
今後,これらへの対応状況について,逐次,日本原子力研究開発機構から報告を受けるとともに、必要に応じてさらなる安全対策の実施などを求めてまいります。
(景気・雇用状況)
次に,景気・雇用状況についてであります。
日本経済再生に向けて現政権が積極的に取り組む経済政策では,大胆な金融政策,機動的な財政政策,民間投資を喚起する成長戦略の「三本の矢」を一体として実行するとされておりますが,このうち「一本目の矢」である,大胆な金融政策の効果などにより,円安,株高が急速に進み,政府の5月の月例経済報告においても,「景気は緩やかに持ち直している」とされ,先行きについても,次第に景気回復へ向かうことが期待されているところであります。
しかしながら,急激な円安に伴い,農林水産業や運送業などへの影響,食品の値上がりなどが懸念されているところであり,株価や長期金利も含め,今後の景気動向を注視していく必要があると考えております。
また,4月の有効求人倍率が全国では0.89倍と回復傾向にある一方で,本県では0.77倍と3月に比べ0.02ポイント下回っているように,経済政策の効果は県内の中小企業の経営状況や雇用状況の改善までには至っておらず,依然として厳しい状況が続いております。
一方,先月15日には,「二本目の矢」である機動的な財政出動として国の平成25年度予算が成立し,平成24年度補正予算と合わせたいわゆる「15ケ月予算」が本格的に執行されることとなりました。県におきましても,国の緊急経済対策に対応した経済雇用対策などの効果的な執行と着実な推進に努め,東日本大震災からの復興・再生支援の取組みとあわせ,県i内の景気回復と雇用の改善に向けて,引き続き全力で取り組んでまいります。
今後は,政府が今月中に策定する予定の「三本目の矢」である成長。戦略により民間投資が拡大され,県内経済が活性化するよう期待しているところであります。
(東日本大震災からの復旧・復興に向けた取組み)
次に,東日本大震災からの復旧・復興に向けた取組みについてであります。
被災した施設の復旧については,河川・海岸の復旧工事は先月末までに全て完了し,道路などについても9割を超える箇所で復旧が進んでいるほか,県立学校においても,被害が大きく校舎などの建て替えが必要な2校を除いて全て復旧いたしました。また,施設の利用と復旧工事をあわせて行っている港湾や漁港においても,先月末には平潟漁港の内防波堤が完成するなど,復1日に向け着実に工事が進んでおり,早期の完全復旧を目指してまいります。
また,あわせて橋梁の耐震化等による緊急輸送道路の機能強化や,海岸・河川河口部の堤防かさ上げによる津波対策など,「災害に強い県土づくり」を推進してまいります。
(東京電力福島第一原子力発電所事故への対応)
次に,東京電力福島第一原子力発電所事故への対応についてであります。
原発事故による風評は,特に観光や農林水産業の分野において,大きな影響を及ぼし続けております。
平成24年に県内の観光施設等を訪れた観光客の延べ人数は約4,720万人となり,震災前の平成22年と比較して9割以上の水準にまで回復してまいりましたが,県北臨海部などにおいては,まだ7割を下回る状況にあります。また、本年のゴールデンウイーク期間における観光入込客数は,増加傾向にありましたが,夏の海水浴や秋の紅葉のシーズンに向けて,今後,さらなる誘客促進策を講じていく必要があります。
このため,首都圏,栃木県及び群馬県において,観光情報のP Rや海の安全性をアピールする夏の観光キャンペーンを重点的に実施しますとともに,宿泊観光客の誘致と周辺観光施設等への周遊促進のため,プレミアム付き宿泊券を販売するなど,観光振興に積極的に取り組んでまいります。
また,本県産の食品に対する風評についても未だ大変厳しい状況にあります。昨年度後半に実施した,本県産の食品に関する意識調:査によりますと,消費者については,本県産品の購入を控えている方は減少してきているものの,青果物卸売業者等については,首都圏で10.3パセント,名京阪神では28.4パーセントもの方が本県産の食品について,「今も取扱いを控えているものがある」と答えているところであります。
このため,先月24日には,私自ら都内量販店において,メロンなどのトップセールスを行うとともに,25日には,山口副知事を先頭に大阪市中央卸売市場等において,卸売業者等に対し,本県産青果物の品質の高さと安全性をアピールしてきたところです。
今後とも風評払拭に向け,徹底した放射性物質検査と迅速でわかりやすい公表に努めるとともに,県内外でのイベントやキャンペーン等を積極的に実施してまいります。
(指定廃棄物について)
次に,指定廃棄物についてであります。
放射性セシウム濃度が1キログラム当たり8,00oベクレルを超える,いわゆる指定廃棄物については,県内では,本年4月末現在で13市町の14か所に,約3,640トンが保管されております。
国は,今年2月に,最終処分場の候補地の選定に係る経緯の検証や今後の方針の見直しを行い,市町村長会議の開催を通じた共通理解の醸成,施設の安全性や候補地の評価基準について,専門家による評価を行うことといたしました。この方針に沿って,去る4月12日には,第1回茨城県指定廃棄物処理促進市町村長会議が開催され,出席した市町村長からは,「福島県の原発周辺に集約して処分すべき」,「いくら安全だと説明しても住民の合意形成を図ることは困難である」,「風評被害について対策を真剣に考えるべき」など,様々な意見が出されたとこ
ろであります。今月下旬に開催される予定の第2回の市町村長会議では,第1回会議での意見に対する国の対応や,、有識者会議で検討されている候補地の評価基準などについて説明があり,さらに意見交換を行うこととなっております。
県といたしましては,この市町村長会議を通じて国と市町村の相互理解を促進し,指定廃棄物の安全・安心な処分が図られるよう努めてまいります。
(日本原子力発電東海第二発電所の現況)
次に,日本原子力発電東海第二発電所の現況についてであります。
国の原子力規制委員会においては,来月にも新たな規制基準を策定する予定であり,今後,準備が整った原子力発電所から,新基準に基づく審査が行われる予定となっております。
東海第二発電所の今後の取扱いについては,未だ不透明でありますが,日本原子力発電株式会社においては,今年度,安全対策として,過酷事故等における放射性物質の放出抑制のためのフィルタ付ベント設備や施設内の安全確保のための防潮堤の整備などについて検討を進めていると聞いております。
県といたしましては,引き続き,東海第二発電所の今後の動向を十分に注意しながら,国に対し,原発に係る対応方針をできるだけ早く決定するとともに,その根拠を国民へ明確に説明するよう要望してまいります。
(地方分権改革の推進)
次に,地方分権改革の推進についてであります。
去る3月8日に内閣総理大臣を本部長とする地方分権改革推進本部が設置されるとともに,4月5日には第1回地方分権改革有識者会議が開催され,新たな体制の下で地方分権改革の推進に向けた議論が始められました。
また,義務付け・枠付けの見直しを内容とする第3次一括法案が先月17日に参議院で可決され,現在,衆議院において審議中であります。
しかしながら,国の出先機関の原則廃止など,課題の解決に向けた議論が遅々として進んでいないことから,今後とも,地方の意見や提言を最大限尊重した上で,地方への権限や税財源の移譲を早急に推進するよう全国知事会などと力を合わせ,国に強く働きかけてまいります。
(国からの給与削減要請に対する対応)
次に,国からの給与削減要請に対する対応についてであります。
本年ユ月の閣議決定に基づき,地方公務員の給与について,国家公務員の給与削減措置を踏まえ,速やかに国に準じて必要な措置を講ずるよう国から強い要請がありました。
また,今年度の地方交付税や義務教育費国庫負担金は,国家公務員と同様の給与削減措置を7月から実施することを前提に減額されているところであります。
これまで,地方においては国を上回る行財政改革を行ってきたところであり〆本県におきましても,独自の給与削減措置を実施するとともに,職員数についても,私が知事に就任して以来,一般行政部門で約2,000人,教育部門で約2,900人の定員を削減してまいりました。
そういった地方の行財政改革の努力を適切に評価することなく,財源面から国と同様の給与削減措置を迫る今回の国のやり方は極めて不適切であると考えております。
しかしながら,現実問題として,地方交付税等の減額措置に対応する必要があること,喫緊の課題である防災・減災事業や地域の活性化等に的確に対応するよう国からの強い要請があることなどを考慮し,来月から来年3月までの9ヶ月間,職員の給与を削減することとし,本定例会に関係議案を提出いたしました。
(企業立地の推進)
次に、企業立地の推進についてであります。
平成24年の工場立地動向調査によりますと,工場立地面積は242ヘクタールで全国第2位,県外企業立地件数は30件で2年ぶりに全国第1位となるなど,本県の工場立地は回復傾向にあるものの,地震や原発事故の影響などにより企業立地を取り巻く環境は大変,厳しい状況が続いております。
今後とも,原子力災害周辺地域産業復興企業立地補助金や茨城産業再生特区による税制上の特例措置に加え,本年度,創設された津波・¥原子力災害被災地域雇用創出企業立地補助金などの立地促進策を活用するとともに,陸・海・空の広域交通ネットワークなど本県の立地優位性等について幅広くP Rし,積極的な企業誘致に努めてまいります。
(茨城空港の利用促進と就航対策の推進)
次に,茨城空港の利用促進と就航対策の推進についてであります。
茨城空港につきましては,開港から3年が経過し,平成24年度の旅客数は40万人を超え,着実にその実績が上がってきているところでありますがタ来月1日からは那覇便が直行便化され,運航時刻も利用しやすくなる一方で,1日2便だった札幌便が1便へと減便となります。このため,引き続き茨城空港の利用促進に努めますとともに,札幌便の復元をはじめ路線の拡充について釦国内外の航空会社に強く働きかけてまいります・
また,空港ターミナルビルについては,開港からの通算の来場者数が300万人を超え,地域の賑わいづくりの拠点ともなっているところであり,今月29日にも,小美玉市の空港利用促進協議会などの主催で,若者の出会いの場を提供する「夜空コン」が開催される予定となっております。また,今年度末にはターミナルビルの近接地に(仮称)小美玉市「空の駅」がオープンする予定とされておりますことから,引き続き地元との連携を図り、周辺地域の活性化に取り組んで
まいります。
(道路等の整備状況)
次に,道路等の整備状況についてであります。
県道日立笠間線につきましては,去る3月25日に日立市大久保町から金沢町までの2.1キロメートノレの区間が開通し,いわゆる山側道路6.1キロメートルが全線供用となりました。
また,3月26日には古河市の県道尾崎境線の1.6キロメートルと,古河市道柳橋恩名線の6.2キロメートルが同時に開通し、たしました。さらに,4月9日には県道野田牛久線につきまして,つくばみらい市成瀬からみらい平地区までの2.1キロメートルが開通いたしました。
これらの道路の開通は,交通利便性の向上や地域の産業振興,まちづくりの促進などに寄与するとともに,災害時の広域避難にも資するものと期待しております。
また,去る4月1日から鹿島港の外港公共埠頭の水深14メートル耐震強化岸壁が暫定水深13メートルで供用開始されました。これにより国際貨物ターミナルとしての機能がより一層強化されるとともに,災害時の緊急物資輸送に当たっても活用が見込まれるところで誠あります。
(地域医療の充実)
次に,地域医療の充実についてであります。
去る3月10日に土浦協同病院及び北茨城市立総合病院の新病院建設工事の起工式がそれぞれ行われるとともに,4月29日には神栖市の白十字総合病院の新本館が,先月23日には日製日立総合病院の新しい診療棟が竣工いたしました。
また,県立中央病院においてはう先月新たに緩和ケア病棟を開設し,がん患者や家族の身体的・精神的ケアの提供を始めるとともに,手術支援ロボット「ダヴインチ」を導入し,本年10月を目途に使用を開始するなど,総合的ながん対策の充実に取り組んでおります。
今後とも地域医療を担う医療機関の整備や運営の充実に努め,医療提供体制の強化を図ってまいります。
(少子化対策の推進)
次に外少子化対策の推進についてであります。
いばらき出会いサポートセンターにおきましては,平成18年6月の開設以来,マリッジサポーターや県内の市町村と連携しながら結婚支援を行ってきたところでありますが,本年4月〆開設から6年11ケ月で成婚数が1,000組に達しました。このため,来月26日に記念式典と婚活応援フォーラムを開催し,全国の若者や結婚支援に取り組む方々に向けた「結婚支援宣言」を発信するなど,本県のこれまでの取組みをアピールし,自治体による結婚支援事業の一層の推進につなげてまいります.
(学校におけるいじめ・体罰問題)
次に,学校におけるいじめ・体罰問題についてであります。
いじめ・体罰の防止については,各教育事務所に設置している「いじめ・体罰解消サポートセンター」において児童生徒,保護者などからの相談やI情報提供を受けることにより,いじめの早期発見・早期対応と体罰の防止に取り組んできておりますが,去る5月28日には,「児童生徒の健全育成に関する警察と学校との連絡制度に係る協定」を県警察本部と県教育委員会との間で締結し,県立学校における児童生徒の問題行動への対応やいじめによる被害の深刻化等の防止・早期対応に向けタ連絡・相談体制の強化を図ったところであります。
また,体罰につきましては,本県の学校における体罰の実態把握に関する調査の結果,昨年度の公立学校の体罰件数が119件確認されたところであります。体罰はいかなる理由があっても許されない行為であるため,新たに作成した体罰防止マニュアルによりダ体罰によらない指導方法について教員の理解を深め,体罰の根絶に努めてまいります。
(児童生徒の体力向上)
次に’児童生徒の体力向上についてであります。
本年3月に小学5年生と中学2年生を対象とした全国体力・運動能力,運動習慣等調査の結果が発表され,本県は,中学2年生が男女とも全国第1位,小学5年生が男女とも全国第2位という好成績を収めました。これは、児童生徒の体力アップ推進プロジェクト事業などにより,各小中学校において運動する機会の確保などに努めてきた成果であると受け止めています。
引き続き,学校教育活動における体育・スポーツ活動の充実を図るとともに,児童生徒の運動意欲を高める体育授業の充実などに努めてまいります。
(第74回国民体育大会及び第38回全国高等学校総合文化祭茨城大会の開催準備について)
次にタ第74回国民体育大会の開催準備についてであります。
平成31年の本県開催に向けて,広報活動や県民運動の推進など開催準備業務を本格化させるため,今年度から「国体推進課」を知事部局に設置するなど,体制の強化を図ったところであります。
来月には,正式競技の開催市町村を決定していくほか,10月以降に予定されている中央競技団体の正規視察への対応など開催準備を着実に進めてまいります。
次に,第38回全国高等学校総合文化祭茨城大会についてであります。
来年7月の開催に向け,来月27日には開幕一年前記念イベントとして,小美玉市において韓国の高校生を招いた国際交流コンサートを実施するとともに,10月12日には総合開会式やパレードのプレ大会を本大会と同じつくば市の会場で実施いたします。これらの事業とあわせて県内外での広報P R活動を展開し,開催気運の醸成に取り組んでまいります。
(提出議案等)
次に,提出議案等についてご説明を申し上げます。
今回の提出議案は,条例その他9件,報告1件であります。
条例は,改正するもの7件であり,主なものといたしましては,社会保障の安定財源の確保等を図るため,地方消費税率の改正などを含む地方税法の改正に伴う,「茨城県県税条例の一部を改正する条例」などであります。
条例以外の議案といたしましては2件で,県有財産の売却処分についてであります。
報告は,専決処分の報告で,平成24年度の一般会計等の歳入が確定したこと等に伴う予算の補正などであります。
以上で,提出議案等の説明を終わりますが,なお詳細につきましては,お手元の議案書等によりご審議の上,適切なご議決を賜りますようお願い申し上げます。