【がん対策】年齢調整死亡率の減少目指す。手術療法、放射線療法、化学療法の組み合わせで緩和ケアなど積極推進。

 がん対策は、これからの医療施策の中核をなすものであり、各地で工夫を凝らした対策がとられています。
 ここでは、がん医療で国指定の拠点病院である都立駒込病院の取り組みと共に東京都のがん対策を学びたい。
 全国的にがんで亡くなる人が年々増加しており、東京都では2011年に3万2131人と、全死亡者数のうちおよそ3人に1人が、がんで亡くなっている。
 
 がん対策が国政の最重要課題となる中、政府は06年に公明党のリードにより「がん対策基本法」を制定し、翌07年には「がん対策推進基本計画」を策定した。こうした動きの中で、都は08年度から12年度までを期間とする「東京都がん対策推進計画」を08年に策定しました。
 この計画で都が「最も大きな成果」(医療政策部)と指摘するのが、がんの年齢調整死亡率の減少だ。この死亡率は、年齢構成の異なる地域で死亡率が比較できるよう調整した指標。都では、75歳未満で人口10万人当たりの死亡率が、93・9(05年)から82・4(11年)となり、05年を基準にすると6年間で12・2%も減少した。都は08年度からの10年間で20%減少をめざす方針です。
 
 死亡率減少の背景には、高度ながん医療を施す施設の整備が進んだことが挙げられる。専門的ながん医療に携わる医師らが配置される拠点病院には、手術療法や放射線療法、化学療法の組み合わせによる治療、がんの身体的・精神的な苦痛を軽減する緩和ケア、がんに関する相談支援などが実施されている。都はこの拠点病院の拡充に力を入れており、09年度の14カ所から12年度の24カ所にまで拡充した。拠点病院と同レベルの診療機能を持つ施設を認定病院として都独自に認定し、その数は現在10カ所。がんの発症部位(肺・胃・大腸・肝・乳・前立腺)ごとに拠点病院と同等の診療機能を持つ協力病院も現在、23カ所に増えました。
 都は緩和ケア体制の拡充にも力を入れている。緩和ケアの研修を行う指導医師は、09年7月時点で89人だったが、12年8月時点では242人に。研修会を修了した医師数も09年6月時点の283人から13年3月時点では4198人と、約15倍になった。
 がん患者やその家族を支える取り組みも重要です。国立がん研究センターの「がん対策情報センター」は、がん治療や療養生活に関する適切な情報を提供しようと相談員研修を実施。研修を修了した看護師などが拠点病院の相談支援部署に配置されている。この相談員が都では09年7月時点の17人から12年8月時点で86人まで大幅に増員されている。
 都は3月にこれまでの成果や課題を基に基本計画の改定を行い、大人のがん対策に比べて遅れている小児がん対策の強化などを含めて、13年度から新計画を実施している。
 11年に「がん・感染症センター」として全面改修された都立駒込病院。都内24の拠点病院の中でも都の中核施設として位置付けられている。
 改修に伴い、手術室は9室から15室、内視鏡室は7室から10室、抗がん剤投与など化学療法を行う通院治療センターは26床から50床と大きく増えた。同病院の坂巻壽院長は「より多くの患者を診ることができるようになった」と効果を話す。同病院で取り扱った、がん件数は11年に3900。これを毎年200ずつ増やし、5年後には5000程度にする目標だ。
 同病院には最先端の放射線治療機器が3種類導入された。一つは、ドーナツ状の形で回転しながら放射線を照射し、がん細胞を破壊する「トモセラピー」。コンピューター断層撮影装置(CT)の技術を組み合わせて、より高精度にがん細胞に放射線を当てることができる。二つ目は、アームがあらゆる角度に動き放射線を患部にピンポイントで当てる「サイバーナイフ」。三つ目の「VERO 4DRT」は、呼吸で肺などの臓器が動いても、がんを捉えて放射線を連続照射できる。これら3種が全てそろったのは全国初という。「治療精度が上がるだけでなく、患者の放射線治療の副作用を少なくすることができる。当病院のめざす『患者に優しい医療』を行うことができる」(坂巻院長)。
 さらに同病院では緩和ケア体制にも力を入れ、24時間面会できる個室(22床)を緩和ケア病棟に設けた。医師だけでなく、専従の薬剤師や、がん専門の認定看護師、臨床心理士をそろえ、緩和ケアを提供するチームをつくり、スタッフも充実させている。

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