【八島一般質問】いばらきの未来構想。人口を維持し、いばらきの地勢と産業集積の優位性を活かし、我が国発展の一翼を。

 八島功男一般質問の詳細です。
 まず最初の質問は、「いばらきの未来構想について」です。
 八島功男の質問
 橋本知事の県政5期20年の締めくくりとなる本定例会。私は、知事の初めての県議会登壇となる平成5年10月の第3回定例会から知事新任直後の所信表明をひもとき、橋本県政の「来し方」を確認し、20年の時を経て、本県の「行く末」ともなるいばらきの未来構想について、知事のご所見を伺います。
 知事は述べられました。「今、私に課せられた緊急かつ最大の課題は、今回の不祥事により失われた県民の県政に対する信頼を一刻も早く回復し、県民の皆様とともに、茨城の再生に向けて新しいスタートを切る事である」と。20年前のことです。
 そして、県政運営の基本理念を、第1に「清潔で開かれた信頼の県政」、第2に「県民と一体になった連帯の県政」、第3に「新しい時代を切り拓く創造の県政」を目指すと宣言されました。
 この「清潔」「連帯」「創造」の基本理念は、すべての所信表明にも貫かれています。
 以来、2期目には、「茨城県に生まれてよかった、住んでよかった」と感じることができる県づくりを目指すとし、陸・海・空の交通ネットワーク整備などを示しました。3期目は、「愛されるいばらきづくり」を加え、4期目は「我が郷土茨城を、人が輝く、元気で住みよい いばらき」と「21世紀の日本を支えていける いばらき」を目指し、広域交通ネットワークの整備や企業誘致等による「産業大県づくり」の推進などを示されました。5期目は、「産業大県づくり」が一定の成果を上げつつあることから、その活力を生かして県民一人一人の生活を充実させていくこと、茨城を「生活大県」へと深化させていくことを今後の県政の目標とすると宣言されました。現行の東日本大震災を踏まえた「(改定)茨城県総合計画 いきいきいばらき生活大県プラン」に知事の茨城県発展の理念が反映していると理解します。
 振り返ればバブル経済が崩壊し、「失われた20年」と呼ばれるこの間、政治は55年体制が終焉し連立の時代へ、経済は収縮してデフレのスパイラルに陥りました。
 
 知事は、激動の中で奮闘されました。当初、構想した政策が思うに任せないこともあったと思われます。一方で、見事に所期の目標を成し遂げたこともあると考えます。
 そこで、橋本知事におかれては、5期20年を経て、これまでに成し遂げたことをお示しいただきますとともに、これから茨城県発展のためには、どのような政策が必要とお考えなのか、知事のご所見をお伺いします。
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 橋本昌知事答弁
 八島功男議員の御質問にお答えいたします。
 いばらきの未来構想についてお尋ねを頂きました。
 
 まず、私がこの二十年で、何をしてきたかについてでございます。
 この二十年は、景気の低迷や危機的な財政状況が続いたことに加え、最近では、東日本大震災や福島原発事故の発生など、県政を取り巻く環境は大変厳しいものがございました。
 こうしたなか、私は、本県を発展させていくためには、一定の定住人口を確保した上で、その活力によって医療や福祉、教育などのサービスを維持していくことが必要であると考えました。
 そのためにはまず、雇用の場を確保することが最も重要であると考え、産業活動の基盤となる、北関東道や圏央道、つくばエクスプレス、常陸那珂港、茨城空港などの広域交通ネットワークの整備を進めてまいりました。
 その結果、コマツや日立建機、日野自動車などの国内有数の優良企業が数多く立地し、過去十年間の工場立地面積は全国一位の実績となっております。
 さらに、農業につきましては、安全・安心、高品質な茨城農業が進展し、平成二十年から農業産出額は全国二位の座を回復しております。
 また、最先端の科学技術につきましては、J-PARCが稼働したことに加え、つくば国際戦略特区によるBNCTなどの先導的なプロジェクトが進められております。
これらの取組により、平成二十二年度の一人当たり県民所得は、過去最高の全国第五位となったところでございます。
 一方、医療や福祉の分野につきましては、県民が安心して健やかに暮らすことができるよう、小児医療費助成制度の対象拡大や、全国では例の少ない妊産婦医療費助成を実施するとともに、地域中核病院の整備などを推進してまいりました。
 また、地域ケアシステムの導入や、特別養護老人ホーム、保育所の整備などを進めておりますほか、いばらき出会いサポートセンターでは、成婚一千組を達成しております。
 さらに、教育の分野につきましては、少人数学級や国際理解教育、理数教育、道徳教育などの推進に加え、中等教育学校や特別支援学校の開校のほか、美術館や生涯学習センターなどを整備してまいりました。
 最近ではこうした考え方を県民にわかりやすく説明するため「産業大県づくり」や「生活大県づくり」といった表現を用いながら、県政運営に努めてきたところでございます。
 次に、これから本県が発展していくために必要な政策についてでございます。
 これからの日本は、本格的な人口減少・超高齢社会を迎えます。
 茨城県においても2040年には、人口が242万人と急激に減少し、高齢化率も36.4%になると予測されており、地域によっては、今までのような形で日常生活を営むことが困難になってまいります。
 そうした中で、県民の皆様が安全・安心で快適な生活をおくることができる環境を確保するためには、一定程度の人口を維持していけるか、人口減少のペースをいかになだらかなものにできるかといったことが大きなポイントになってくるものと考えております。
 幸い本県は、首都圏に近接し、最先端の科学技術や優れたものづくり産業が集積するとともに、日本有数の農業県であるなど恵まれた条件が整っております。
 この優位性を最大限に活かし、広域交通ネットワークの早期完成に努めますとともに、革新的な新産業・新事業の創出や、企業誘致の推進、儲かる農業の実現などに取り組み、引き続き経済の活性化と働く場の確保を図っていく必要があると考えております。
 一方で、医療や福祉、環境など県民生活に密着した政策を充実させていくことも必要であります。
さらに、日本やいばらきの発展のためには、人づくりが極めて重要でありますので、科学技術創造立国を担う人材や国際社会で活躍できる人材の育成など教育の充実に努めていかなければならないと考えております。
 なお、労働力人口が急速に減少し、高齢者が急増する中で、医療や福祉、農業などの多くの面で外国人労働力をどう導入するかといった問題をはじめ、外国人と共生できる社会づくりも大変重要になってまいります。
こうした政策の推進により、人口減少が進む中にあっても、我が国の成長と発展の一翼を担える活力ある茨城県になっていけるものと考えております。
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 以上です。