茨城県が科学の分野で先端を行くとすれば、やはりJ-PARCk活用を図ることが肝心だと考えます。
残念な事に、放射能漏れや被爆は、私たちの原子力そのものへの不安感を与えたものと心配します。
「それでも、BNCTは大事である。研究の歩みを止めてはならない」と私は考えます。実用化に向けた着実な研究のため、必要な予算を確保してほしいと訴えました。
八島功男質問
次に、次世代がん治療であるホウ素中性子捕捉療法BNCTの臨床研究事業推進予算確保について企画部長に伺います。
まず申し上げなければなりません。J-PARC内の日本原子力研究開発機構のハドロン実験施設における放射性物質漏洩や研究員の被爆の事故はあってはならないことであり誠に遺憾です。このような原発ではない原子力実験施設の事故は、私たちに原子力そのものに不安感を与えかねません。徹底的な原因追求と再発防止策を強く要望します。
その上で、次世代のがん治療を展望するとき、がん細胞周囲の正常組織にほとんど影響することなく、がん細胞を狙い撃ちし破壊できるBNCTへの期待は、悪性脳腫瘍や肺がんなど難治性がん治療の切り札になることです。
開発の進捗は、筑波大学を中心に産官学チームが、中性子ビームを発生させる小型加速器をJ-PARCの技術を応用し、本年度中の完成に向けて調整中であり、2015年に治験に入る計画です。この成果は、患者の滞在時間の短縮や照射回数の減少、費用の軽減などが見込まれます。
競合するのは京都大学原子炉実験所。ぜひとも京大に負けない成果を期待します。加えて、茨城の先駆性を表し、通称として茨城の「i」を付け加えて、「i-BNCT」と表記するのも良いでしょう。
このようにがん放射線治療に画期的な変革をもたらすであろうBNCT。今、必要なものは、事業費の獲得に他なりません。
中性子発生装置、放射線測定機器、患者位置制御装置等の装置や、運用経費などを経済産業省、文部科学省から特区調整費の活用を含めて予算を獲得するために、県はセンター施設整備支援と共に、関係府省に対して強く予算確保要請をして頂きたい。
ついては、次世代がん治療であるホウ素中性子捕捉療法BNCTの臨床研究事業推進予算確保について企画部長のご所見を伺います。
小松原企画部長
BNCT(ホウ素中性子捕捉療法)についてお答えいたします。
BNCTは、つくば国際戦略総合特区の先導的プロジェクトとして、筑波大学や高エネルギー加速器研究機構、日本原子力研究開発機構、北海道大学、及び茨城県がプロジェクトチームを組んで、世界に先駆け、病院への普及を目指す小型直線加速器による実用化を進めているところであります。
お尋ねの事業予算の確保につきましては、これまで、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の補助金や国の特区推進調査費などを積極的に活用し、加速器本体などの開発を進めるとともに、県におきましては、東海村に研究開発拠点となる「いばらき中性子医療研究センター」を整備するなど、総額約19億円を投じ、事業を進めてまいりました。
議員ご指摘のとおり、開発を着実に進めるためには、予算を確実に確保していくことが重要であります。今年度は陽子ビームを当てて中性子を安定的に発生させる標的や、患者の姿勢を制御する装置の開発のため、経済産業省の医療機器開発補助金や、文部科学省の大学運営交付金など約6億4千万円を要求しており、現在、既に国との協議を行っているところであります。
県といたしましては、今年度の整備に必要な予算を早期かつ確実に確保できるよう、中央要望や府省との協議を進めるなど、あらゆる機会を捉えて要望に努めてまいります。また、平成26年度以降につきましても、筑波大学や高エネルギー加速器研究機構、つくば市等の関係者と連携し国への働きかけなどを積極的に展開することにより、確実に国の予算を確保し、BNCTの一日も早い実用化の実現に向けて、戦力で俚組んでまいりたいと考えております。