八島功男の一般質問の最後は、建設業の再生について質問です。
これは、公共事業工事に従事する皆さんの給与の上昇と働く安心である3保険の加入の整備を問うものです。
すでに国では、公明党出身の太田国土交通大臣のもと新方式が進められており、県として遺漏なく対応することを確認する質問としました。
八島功男質問
次に、建設業の再生について土木部長に伺います。
第1に、公共事業設計労務単価について伺います。
国交省が3月末に示した平成25年度公共事業における基準賃金となる「設計労務単価」は、全国平均で15.1%、茨城県内における労務単価は、全職種で平均約18%上昇しました。
この単価設定は、毎年10月を基準に国及び県発注の公共工事等を対象にして、元請企業、下請企業を問わず51種の労働者賃金の賃金台帳から転記して調査するもので、従前より、ダンピング受注の排除のための低入札価格調査制度と最低制限価格制度の適切な活用を目的にしています。
建設業の実態は、公共事業の削減で投資額はこの20年でほぼ半減、同時に建設業就業者数も約2割減少、過当競争は労働者にしわ寄せされ、賃金も他の業種に比べて下落、男性労働者の賃金は、全産業の平均を26%も下回る低い水準と言われています。これでは老朽化した社会資本の整備や防災・減災、災害に強いまちづくりに支障を及ぼす恐れがあります。
しかしながら、この労務単価改定は、必ずしも急激な実態賃金に上昇に追随しているとは言えない面があります。基準日は年1回で、10月調査の翌年4月実施とタイムラグがあり、賃金そのものも、建設業者が先行して上昇した賃金を支払ったことで評価されるという労働市場の実態から遅れることに課題があります。
太田国交大臣は、旧労務単価で積算した工事についても4月以降契約する工事から新労務単価を適用する特例措置を講じるとともに、直接建設業界団体に、前例にない労働者の賃金引き上げの直接要請を行い、業界団体も積極的な対応を約束しました。
そこで、県として労働市場の需給状況を反映した実態賃金に対応した施策により、公共事業の速やかな執行を確保すべきであると考えますが、公共事業設計労務単価についての土木部長に伺います。
第2に、適切な社会保険加入の徹底について伺います。
建設業の再生を目指すうえでの課題に、若い建設業従事者不足と建設技術者不足の深刻さが指摘されます。24才以下の入職者はこの20年で5分の1に減少し、入職後3年以内の離職率は製造業の2倍弱とも言われます。
これは低賃金と共に、勤続する安心と安全を担保する雇用保険、健康保険、厚生年金の3保険加入の少なさに課題があります。3保険すべてに加入している労働者の実態は、元請で78%あるものの、1次下請け55%、2
次下請け44%という報告があります。
一定の技能を備えた労働者の育成には、10年程度の年月が必要とも言われ、高齢化が進む建設業者の若年入職者の確保は重要課題です。
今回の労務単価の改定は、適切な法定福利費本人負担相当額を反映するものであり、その一方で、法定福利費の事業主負担が適正に支払われているか、建設業許可申請や経営事項審査時の加入確認等が必須です。合わせて社会保険担当部局との連携して頂きたい。
そこで、建設業者の社会保険の未加入対策について土木部長に伺います。
第3に、低入札価格調査基準価格の見直しについて伺います。
国交省と総務省は、直轄工事での算定方式が直接工事費の95%、共通仮設費の90%、現場管理費の80%、一般管理費の30%の合計額に1.05を掛けた金額であったところ、一般管理費について30%から55%に引き上げました。これにより、入札および契約の一層の適正化が進むことで、建設業者が適正な利益水準確保が期待され、建設業者の育成につながるものと考えます。
ついては、本県における低入札価格調査基準価格の見直しについて土木部長に伺います。
以上で、質問を終ります。ご清聴ありがとうございました。
立蔵土木部長答弁
建設業の再生についてお答えいたします。
まず、公共事業設計労務単価についてでございます。
労務単価については、毎年1回、国との共同調査をじっしてせっていしており、今年4月に改定した茨城県における設計労務単価は、公共工事に従事する労働者全職種平均で、前年度と比べ約18パーセントという大幅な上昇となりました。
これは、技能労働者の減少に伴う労働市場の実勢価格を適切に反映したこと、社会保険への加入徹底の観点から適切な法定福利費相当額の本人負担分を反映したことなどによるものです。
このような大幅な単価上昇を踏まえ、国では特例措置として、旧労務単価で予定価格を算定し4月1日以降に契約する工事に、平成25年度労務単価を適用したところであり、県におきましても、国からの要請を受け、速やかに本特例措置を実施したところでございます。
今後とも、労務費の著しい高等が見られた場合等につきましては、国とも連携しながら、迅速に対応してまいりたいと考えております。
次に、適切な社会保険加入の徹底についてお答えいたします。
議員ご指摘のとおり、建設業界においては、雇用保険、健康保険、厚生年金保険について未加入の事業者が存在し、若年入職者減少の一因ともなっておりますことから、その対応が課題になっております。
このため、本県では、国土交通省の建設業施行令等の改正に伴い、昨年の11月から、建設業許可申請時や経営事項審査時において加入状況を確認し、社会保険未加入の建設事業者に対しまして、文書等による指導を行っているところでございます。
また、今年三月には、関東地方整備局、関東信越厚生局、業界団体等に呼びかけて、「茨城ワーキング」を設置したところであり、本県における社会保険未加入対策の取組状況に関する情報共有や意見交換を通じて、関係団体と一体になって、未加入対策に取り組んでいるところでございます。
さらに、県工事の入札参加資格におきましては、これまで、社会保険の加入を上位S、Aランクになるための必要条件としておりましたが、今回の平成25、26年度の入札参加資格では、その条件をBランクの事業者まで拡大したところでございます。
こうした社会保険の加入促進の取り組みは、若者にとって建設業の魅力を高めるとともに、そこで働く技能労働者等の雇用の安定に繫がるものでありますので、引き続き、国の関係部局や業界団体と連携しながら、加入の徹底を図ってまいります。
次に、低入札価格調査基準価格の見直しについてお答えいたします。
行きすぎた安値受注、いわゆるダンピング受注は、工事の櫃室の低下や下請業者へのしわ寄せ等、建設業界の健全な育成を阻害するおそれがあることから、その排除は重要な課題であると認識しております。
このため、本県では一億円以上の工事及び総合評価方式の入札において、低入札価格調査制度を適用し、応札価格が基準を下回った場合は調査を行い、適正な施行が確保できないと認められた場合は失格としております。
また、総合評価方式を除く一億円未満の工事では、最低制限価格制度を適用し、応札価格が基準を下回れば失格とし、ダンピング受注の排除に努めているところであります。
今回、国土交通省では、議員ご指摘のとおり、工事の品質確保等をねらいとして、低入札価格調査基準価格の算定式のうち、従業員給与手当等に当たる一般管理費等の参入率の引き上げを行ったところでございます。
主旨を踏まえ、本県におきましても、6月1日以降に入札公告又は指名通知を行う工事から、低入札調整基準価格及び最低制限価格を国に準拠して引き上げたところであり、過当競争抑制の効果が期待できるものと考えております。
県といたしましては、今後ともダンピング対策を推進していくとともに、先に申し上げた、適切な公共事業労務単価の設定や社会保険加入の徹底により、適正な競争環境の整備を図り、建設事業者の健全な育成や建設業の再生に努めてまいりたいとかんがえております。