【年金運用】過去最高11兆円の運用益、確かな株高と円安効果あり。

 アベノミクスは、金融緩和、財政出動、成長戦略により実行されるものです。
 なかでも、金融緩和は、株高と円安を生んだことは間違いありません。多少の乱高下があるものの基本的なトレンドをしっかりと見抜いて参りたいと思います。しかしながら、円安や株高の恩恵を実感することは難しいものです。
 私たちが実感せずとも確かに高架のあったものが年金積立金の運用結果と言えましょう。
 国民年金と厚生年金の積立金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は、2012年度の運用益が11兆2222億円と比較可能な01年度以降で最高(従来は09年度の9兆1850億円)となったと発表しました。
 運用利回りは10・23%と11年度の2・32%から大幅に改善。安倍政権の経済政策の影響などで株高と円安が進み、国内外の株式運用益が膨らんだものと解されます。
 運用益の主な内訳は、国内株式が3兆3314億円(11年度は1754億円)、円安で円換算額が増えた外国株式が3兆7620億円(同619億円)とそれぞれ大幅に増加。
 外国債券も1兆8218億円(同4516億円)と好調で、財投債を除く国内債券は2兆1263億円(同1兆6891億円)でした。
 
 運用利回りでは、国内株式が23・40%、外国株式が28・91%とそれぞれ上昇。外国債券は18・30%、国内債券(財投債除く)は3・68%。
 
 12年度末の運用資産額は120兆4653億円と11年度末より6兆8541億円増加した。年金の支払いに充てるための積立金の取り崩し額は4兆3438億円だったが、運用が好調だったため、年度末の資産額が3年ぶりに増えた。
 
 同時に発表した13年1~3月期の運用益は7兆6273億円。
 
 12年度の運用益は最高額を記録したが、長年の株安などの影響でGPIFの運用は近年、苦戦が続いてきた。利回り向上のため政府は今月1日、運用の中心を占める国内債券の割合を減らし、高利回りを期待できる株式などの割合を増やす検討を始めたようです。