選挙運動という側面から参議院選挙を振り返ってみるとねやはり「ネット選挙運動」解禁が挙げられます。
解禁された理由の一つは、政党・候補者と有権者が双方向で政策や公約などを論議する機会が増えれば、若い世代を中心に政治への関心が高まるのではないかと期待されたからと言えます。
私もフェイスブックのシェア機能を使わせて頂いたと思っています。そして、インターネットを垣間見ると、政党・候補者の多くが政策の発信や投票依頼に活用していたのではないでしょうか。
政党・候補者を選ぶ判断材料を可能な限り提供し、有権者の政治参加の機会や選挙への関心を高める流れを今後も強めていく方向性はまちがいないと考えます。
では、どうするのか。そのためには、選挙運動の在り方を見直す必要があると思う。
多くの欧米諸国では、選挙運動の中心が討論会や戸別訪問と言われる。討論会で政策を訴え、有権者の判断を仰ぐ。英米の両国では、各家庭を回って支持を依頼するスタイルが主流で、ドイツは政党が政策ビラを自由に配布し、戸別訪問して政党の方針を伝えていく。
振り返って日本の公職選挙法はどうか。ポスターの規格やビラの記載内容などを細かく制限、戸別訪問は禁止している。「べからず集」である。過去の反省に立ち、不平等や不正を防ぐ目的は理解できるが、戦後まもない1950年の制定以来、大きな見直しはなく、時代にそぐわない規定も少なくない。
選挙運動が過度に規制されると、有権者の求める情報が十分に届かなくなる恐れがある。結果的に有権者の政治参加が阻害されないだろうか。場合によっては投票の棄権につながりかねない。もう少し自由に運動ができる仕組みを考えるべきである。
特に、戸別訪問の禁止は候補者やその支持者が政策を訴え、有権者の意見をくみ取って政治に反映させる貴重な機会を奪っていないだろうか。検討が必要だ。
議会制民主主義は、有権者一人一人が熟慮した1票を投じる行為で成り立つ。投票率が低ければ、民意は正しく反映されず、多様な価値観によって構成される健全な社会は望めない。選挙の訴えを広く直接的な実施する方法があっても良いと思う。