「2・6・2の法則」とは、 一般にどのような組織や集団も『優秀な人が2割、普通の人が6割、パッとしない人が2割』を指します。
これは、集団を組織するにあたってパッとしない人を除いてチーム編成しても、また2・6・2の法則が働き、やはり組織や集団に貢献しない2割の人が生まれる傾向というものです。人についても、能力や活動量あるいはモチベーションの高さも統計で言えば正規分布していると考えられるので、そんな傾向の結果かもしれません。
この法則は、アリの世界でも同様のようです。この事を研究者は、「働かないアリがいれば、別の仕事が生じた時にすぐに対応できる。仕事の効率は下がるが、集団を維持する巧妙な仕組みではないか」と推測しており、働かないアリが集団維持にどのように貢献しているのかが今後の研究テーマだといいます。
そして、一昨日の琉球新聞には、琉球大学の辻教授ら研究チームが、「働かないアリが長生きしている」を発見したと掲載されています。
琉球大学農学部の辻和希(本名・辻瑞樹)教授と日本学術振興会の土畑重人特別研究員の研究チームはこのほど、働きアリよりも、働きアリの労働にただ乗りする、働かないアリの生存率の方が高いことを突き止めた。
個々が社会の目標より自分の目標を優先してしまうことで社会をつくることができなくなるという、人間社会でもみられる「公共財ジレンマ」の実例を、人間と微生物以外で初めて発見した。研究成果は「米国科学アカデミー紀要(PNAS)」(オンライン版)に掲載される。
辻教授は「この研究成果は人間がなぜ助け合うのかを理解するのにも役立つ」と強調した。
「公共財ジレンマ」とは、協力して社会をつくれば最終的な利益が大きいにもかかわらず、他者よりも大きな利益を得るために、他者の働きにただ乗りするという事態が起こり、社会をつくることができないことを指す。
研究チームがアミメアリを使い実験したところ、労働せずに産卵ばかり行うアリが交じっていることを発見し、それらは働きアリとは遺伝的に異なる系統に属することを確認した。働かないアリは、働きアリによる助け合いの利益にただ乗りしている。
研究によると、働きアリは働かないアリの分まで巣の外に出て労働するため「過労死」し、生存率が下がる。働かないアリは働きアリよりも多く子どもを産むが、その子どもは親と同様に働かない。だが、働かないアリのみの社会では、子孫を残すことはできないという。
自由競争の下では相手からの助けにただ乗りし利益を得た方が得であるにもかかわらず、助け合いの社会が発生することについて辻教授は、自然科学と社会科学の両分野で重要なテーマと指摘。「アリ社会において助け合いがなぜ生じるかを理解することが、ヒト社会の助け合いをより深く理解することにつながる」と研究の意義を強調した。
以上が記事の内容です。
「公共財ジレンマ」とは、深く考えさせられる現象です。共存と共栄の絶妙なバランスをどのようにコントロールするかを行政施策において重要視したいと思います。