【労務単価】全国平均7.1%の引上げにより円滑な公共事業の施行確保。

 公共工事の入札不調は、やはり労務単価によることがはっきりしています。
 しかしながら、上昇すべき労務単価は、単価の反映が約半年遅れることから、なかなかいい結果をうみません。今年も、10月調査の結果反映を国交大臣の指示により早めることができそうです。
 太田昭宏国土交通相は21日の会見で、公共工事設計労務単価と技術者単価の見直し、公共工事の入札不調防止対策実施を表明しました。
 太田国交相は今年度労務単価を2月に引き上げるため、「今月中に関係機関と調整して見直しを行うよう、事務方に指示した」と説明。引き上げ率は昨年10月調査結果を反映させる。不調対策では、全国の自治体に対し建築工事での最新単価の適用やスライド条項の適切な活用を徹底するほか、歩切り根絶に向けた要請、主任技術者の兼任要件の緩和や柔軟な工期の設定などによる人手不足への対応も盛り込む。
 
 労務単価の見直しでは、技能労働者の賃金動向を調査する中で労務費の上昇傾向がみられることから、市場の状況に応じた見直しに踏み切る。従来は10月の調査を踏まえて翌年度の設計労務単価に反映させているが、今回は具体的な見直し内容を1月内にまとめ、2月以降に適用開始する。
 
 13年度当初予算に計上した事業でも、執行されていない場合などは見直した単価を適用する。既に契約した工事についても、インフレスライドを適用して見直した結果を反映させる。
 
 また、技術者単価の見直しも月内に方針をまとめる。適用は14年度になる見込みだ。
 
 一方、不調対策は、▽公共建築工事の施工確保▽予定価格の適切な設定▽適正な工事採算性の確保▽人手不足への対応・平準化--の4つを柱に取り組みを講じる=表。公共建築工事の施工確保については、14日までに全国で自治体を対象に実施した意見交換会を踏まえて調整するが、予定価格の設定に入札日直近の単価を適用する点や設計図書に基づく数量や施工条件などが実態に合わない場合の見直し徹底などを盛り込む。
 
 予定価格の適切な設定に向けては、労務単価や技術者単価の見直し、維持修繕工事の歩掛新設を実施。歩切りの根絶も継続して自治体に要請する予定で、「公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律」(入契法)に基づいて自治体ごとの状況を公表する措置も検討する。
 
 人手不足の対応では、東日本大震災の被災地で実施していた施策を全国でも適用させる。技術者不足に対応するため、地域建設企業の活用に配慮して発注ロットを大型化するほか、近接した施工場所で主任技術者が兼任できる範囲を5㎞から10㎞に拡大。自治体や関係機関の発注見通しも一括して公表できるよう、各地方整備局が発注者協議会などと調整していくことも示した。また、関東整備局で実施した受注者の希望に応じて工期の開始時期を調整する「フレックス工期」や、東北整備局で始めた工事着手前に労働者確保などの準備を進めるための「余裕期間」の設定も全国化し、工期設定を柔軟化することも可能にする。さらに、入札不調が発生した際に関連する既契約工事にその工事内容を追加し、設計変更で取り扱う方法も活用するとした。
 こうした施策の具体的な内容は月末以降にまとめ、それぞれの施策で通知を発出する見通しだ。