高齢になっても元気で生き生きと暮らせる社会をどう築くか。
厚生労働省が発表した平均寿命に関する調査で長野県は男性、女性ともに都道府県別で1位となり、その他の暮らしぶりを示す統計でも上位を占めている。
独自の「保健補導員」制 経験者含め延べ25万人 食事の減塩など推進
長野県の健康づくりを支えてきたのは「保健補導員」。
県内各地域で住民の保健予防や健康体操、食生活改善に関する調理実習、禁煙など、住民の健康を守る草の根の活動を展開してきました。
その歴史は古く、1945(昭和20)年までさかのぼる。当時、結核や赤痢などの伝染病や乳幼児の死亡が多く、衛生環境は劣悪だった。そんな中、須坂市(当時の旧高甫村)に住む主婦らが保健婦の姿を見て「少しでも手伝いたい」と、自主的に活動を始めたのがきっかけとのこと。
その後、保健補導員は県内各地で制度化され、現在のように市町村から任期2年などで任命される形になった。県内で約1万1千人が保健補導員として活動している。
統計が残る1973年以降だけでも延べ約25万人。その大半が女性で、県内の女性の5人に1人が経験していることになる。中には、母子2代にわたって保健補導員を務めるケースもあるという。
現在、須坂市では、市内11地域ごとに毎月1回、健康に関する学習会を開催。内容は、ウオーキングの方法や、減塩とバランスを意識した食事作りを学ぶなど多彩だ。また、保健補導員経験者と現役の保健補導員が集まり、健康に関する新たな情報や知識を共有する取り組みも行っている。
同市健康づくり課によると、保健補導員を経験したことで健康意識が高まる効果も。経験者からは「食事で減塩を心掛けて薄味に慣れた」「野菜を多く食べるようになった」「ウオーキングを実践するようになった」などの声が寄せられているという。
地道な取り組みは、数字にも表れている。例えば、要介護認定率は全国17・6%、長野県の17・3%に対し、須坂市は13・5%と、県内19市の中で最も低い。