生産も販売も消費も、正確と責任ある放射性測定をすることで、信頼を得る時がくると思う

 福島第一原子力発電事故は、膠着状態にあり、長期戦が懸念されます。多くの皆さまが、経験したことのない放射線と向き合わなければなりません。風評被害の根源は、原発事故にあるわけですから、これこそ一日も早い収束の展望が求められます。
 その上で、放射線は忽然として消え去るものではありませんから、私たちは放射線と一部共存の年月を数えるようになると思われます。
 昨日、旧玉造町(現行方市)で、酪農家として乳牛を飼育し、原乳を出荷している方をお訪ねしました。
 数々のお話の中で、この方の牛乳はいわゆる放射線検査に提出しましたとありました。そして、放牧ではなく牛舎で飼育し、飼料も自然牧草ではなく、安全な配合飼料を使用していることから当然の結果として放射線数値は検出されなかったそうです。
 私は、この検査をしたということに思いをよせました。つまり、これからは、農業にせよ酪農にせよ漁業にせよ、生産者・出荷者が放射線量検査を実施して証明書添付で出荷することが必要ではないかということです。集荷業者や競りする市場も検査して、安全性を担保することでねその積み重ねが消費者の理解につながると思われます。
 今も、ほとんどの食品等は、生産地と添加物明細をシール等で添付して公表しています。これに加えて放射線検査が加わることになると思えるのです。
 そう考えていましたら、既に実践している販売会社がありました。
 同社は、まず①現行の「暫定基準値」が科学的根拠に乏しいと疑問を投げかけ、野菜の規制値2,000ベクレル/KGf<チェルノブイリ原発事故時の輸入品規制値だった7,400ベクレル/KGと比較して何が違うのか ②少なすぎるサンプリング結果にもかかわらず、風評被害の広まりは大きすぎる としています。
 そうした考えのうえから、同社は、規制値超の農産物は当然販売しない、しかし規制値以下は販売するという同社のスタンスと責任を明確にした営業を展開するというものです。
 そのために同社は、自ら放射線測定をするということを宣言し、文科省の「緊急時における放射性ヨウ素測定法」によった分析であることも明確にしています。加えて、生産者に対しても調べてもらいたいサンブルがあれば測定するとしており、生産者の不安解消にも手を講じています。
 これが放射線と長く付き合う方法なのかもしれません。感情論ではなく、自らの考えで、安心安全な許容範囲を設定することで、当面の農酪魚の産物は新たな展開をするに違いありません。