【人口減少】行政のスリム化と地場産業振興で新しい投資を呼ぶ環境を作ろう。

 千葉県銚子市には随分あそびに行きました。前職で神栖市知手の支店に赴任していましたから利根川を渡ることに心躍らせるものがありました。
 そして、いかにも漁業振興の男性の街であり、若い女性の働き場所はあまりありそうもないと感じていました。
 その銚子市の少子化対策が真剣に取り組まれています。
 以下は、公明新聞の紹介です。
 若い女性の転出傾向が顕著
 千葉県最東端にあり、全国屈指の水揚げ量を誇る銚子漁港などで知られる銚子市は、2012年2月、厳しい“現実”を突き付けられた。
 男女別の転出超過数
 小中学校の再編を議論する基礎資料とするため、財団法人・日本統計協会に委託し、35年までの「将来人口の推計分析結果」をまとめた。すると、1794人(11年)いる市内中学生が35年には582人、約3分の1まで減少することなどが分かった。半世紀前には8000人近かったことを考えれば、市勢の衰えは誰の目にも明らかだった。
 市人口(6万7877人=今月1日現在)も右肩下がりで約4割減り、35年には4万2264人と推計されている。少子化に伴い、同年には市民の約半数が65歳以上の高齢者となる。
 これらの結果は、出生数や転入数、転出数など、現在の傾向を基にしたものだ。
 中でも、転出数が転入数を上回る「転出超過」の実態は特徴的だった。03年度から10年度までの累計を見ると、転出数が飛び抜けて多いのは、男女ともに「20~29歳」(グラフ参照)。就学や就職、さらに結婚などに伴って市外へ出ていると考えられる。加えて、女性の転出数が多いのは、Uターンが少ないためで、「人口減少が加速する原因になる」としている。0314choshi[1]
 農水産業が主要産業である同市は、そもそも女性が働けるような場が多くない。職場があっても、隣接する自治体に住みつつ、通勤する人たちがいるのが実情だ。少子化、人口減少に歯止めをかけるには、若い女性や子育て世帯にとって“魅力ある街”をつくるしかない
 だが現状では、子育て支援策などで銚子市は近隣自治体に比べて後れを取っている。利根川を挟んで隣り合う茨城県神栖市は、中学3年生までの医療費を助成しているが、銚子市が医療費助成の対象を小学3年生から中学3年生まで拡大したのは昨年12月。
 また、銚子市の住宅地平均価格が1平方メートル当たり3万400円(13年)に対し、西隣の千葉県旭市は1万3400円と、半額以下だ。旭市には、市内に住宅を取得し転入した人に対して50万円を交付する制度もあるが、銚子市にはない。
 行財政改革へ審議会  公明推進 事業仕分け、歳出削減
 「今は、我慢の時」。そう語るのは銚子市の笹本博史・秘書政策課長。行政サービスを充実させようにも、財政難に陥っており、思うように手が打てないからだ。
 大きなネック(障害)となっているのが、千葉科学大学の誘致、銚子市立病院(旧・同市立総合病院)の再生などとみられる。
 日本で唯一の危機管理学部を備えた同大学が04年、市内に開学した。誘致に当たり、市が負った借金は利子を含めて約84億円。若年層の流入や経済効果をもたらす半面、25年度まで毎年約4億円の借金返済が続く。一方、経営悪化から08年に閉鎖された同病院は2年後、指定管理者制度のもとで診療を再開した。しかし、市立病院に要する経費が休止前の約16億円に迫る額まで増え、再び、市財政を圧迫するようになっている。
 そこで市は昨年10月、外部有識者でつくる行財政改革審議会を立ち上げ、改革の加速をめざす。具体的には予算の一部の執行を留保したり、未収金の徴収強化、基金の取り崩しなどを行った。その結果、13年度決算は昨年10月時点で6億円以上の赤字と見込まれていたが、回避される見通しとなった。
 昨年12月には、公明党の粘り強い主張もあり、初めての事業仕分けを実施。対象106事業のうち、21事業が「不要・凍結」と判定され、約1億円の歳出を削減し、14年度当初予算案に反映されている。
 20~30代の若手職員10人でつくる人口減少対策検討プロジェクトチームも昨年末、8項目の政策提案をまとめた。例えば、2世帯住宅の新築などに対する助成や、U・Iターンを促す空き家バンク制度の創設など、実現に向けて動き出しそうなものもある。
 笹本課長は「行政のスリム化は最優先課題だが、地場産業の振興など、自分たちの強みや将来への投資がおろそかになると、活力そのものが失われてしまう。政策の優先順位を見極める目が今まで以上に求められている」と語っていた。
 自治体間の「競争」ではなく「連携」へ  税理士 加瀬 昇一氏
 銚子市の行財政改革審議会副会長で税理士の加瀬昇一氏に見解を聞いた。
 人口減少→税収減・財政悪化→住民サービスの低下→人口減少という悪循環をいかに断ち切るか。あえて言えば、問われているのは市民自身の価値判断だ。市財政に重くのし掛かる市立病院が果たして必要か。市内には開業医も多く、車で30分も行けば、近隣市に総合病院もある。マスコミで騒がれているほど、わが市は医療過疎地域ではない。
 市民が税金の使われ方や事業の目的などを詳しく知ることができたという点で、事業仕分けは大きな意味があった。市職員が今後緊張感を持って市政に取り組む契機にしてもらいたい。
 人口減少時代に入り、“自治体間競争”などと言われるようになったが、自治体間連携を模索すべきだ。例えば、銚子市は夏は涼しく、冬は暖かい。都市部の高齢者の受け入れに適した素地がある。
 公明党の富田茂之・衆院議員の協力も得て、きょう14日、日本貿易振興機構(ジェトロ)の理事長を招いた地域経済活性化セミナーも開催する。これを機に行政と地元金融機関や中小企業の連携を強化し、地域活性化につなげていきたい。