【税制改正】改正の目的は、経済政策の成果を地方と家計に行き渡らせること。

 平成27年度の税制改正のポイントを公明党斎藤税制調査会長のインタビューで確認したいと思います。
 特に、軽減税率については、今年の秋口までに制度案が作られる見込みですし、法人税の実効税率の引き下げと外形標準課税の見直しなど増減税の組み合わせが中小企業の経営に影響することは間違いありません。
 地方における景気回復を急がねばならない時であり、税制改定の影響を精緻に知る必要があります。そして、地方の意見を明確に国に届けなければなりません。
 以下は、公明新聞からの転載です。
自民、公明の与党両党は先月30日、来年度税制改正大綱PDFを開くを決定した。そのポイントについて、公明党の斉藤鉄夫税制調査会長に聞いた。
軽減税率 秋までに制度案
与党で委員会設置 17年度から導入めざす
公明党の主張が盛り込まれた項目―今回の大綱の狙いは。
斉藤税調会長 二つあります。一つは、自公政権の経済政策「アベノミクス」を推進していくこと。もう一つは、その成果を地方や中小企業、家計に行き渡らせることです。自民党との協議の中で公明党は、後者を重視し、多くの成果を勝ち取りました。
―消費税の軽減税率は導入へ前進しましたか。
斉藤 昨年末の衆院選でいただいた多くの支持に応えるためにも、軽減税率の実現を強く訴え、前進させることができました。
大綱では「2017年度からの導入をめざして」と導入時期を明確にしました。その上で、導入への具体的な検討をスタートすることになったのも大きな一歩です。今月中に与党税制協議会に委員会を設置し、自公両党と政府が協議を始めます。遅くとも秋口までに制度案を決める方針です。
―法人実効税率の引き下げも焦点でした。
斉藤 給与アップには、企業収益の拡大を後押しするとともに、企業の税負担を軽くする必要があります。そこで現在34.62%の法人実効税率を数年間で20%台にすることをめざし、15年度は2.51%、16年度は0.78%以上引き下げます。
一方、財政再建も進めなくてはなりません。このため、一定規模の企業について、従業員の給与総額などを基に赤字企業にも課税する外形標準課税の対象拡大などで税収を確保することになります。0105keigenzeiritsu[1]
外形標準課税の対象は資本金1億円超の企業ですが、地方で雇用を支える中堅企業への負担が過度に増せば、アベノミクスの効果が十分に発揮されません。これを踏まえ、公明党が地方の中堅企業などへの配慮を求めた結果、軽減措置を設けることになりました。
―このほか、中小企業や家計支援での公明党の成果は。
斉藤 中小企業に対する法人税の軽減税率の特例(15%)を2年間延長するほか、外形標準課税の対象に中小企業を加えることに厳しく歯止めをかけました。
地方創生に向けた取り組みも強化します。具体的には、企業の本社機能を東京圏から地方に移転したり、地方の本社機能を拡充する際、減税を受けられる制度を創設しました。
家計支援では、賃上げを促すことを目的に、賃上げした企業の法人税負担を減らす「所得拡大促進税制」の適用要件を緩和します。
再・省エネ促す「緑の贈与」実現へ
―「緑の贈与制度」の実現を訴えてきましたが。
斉藤 緑の贈与制度は、再生可能エネルギーや省エネルギーを普及させるため、親などが子や孫に再エネ、省エネ機器設置のための資金を贈与した際、贈与税を優遇するものです。今回、子が住宅を購入したり、増改築する際、もらったお金にかかる贈与税非課税枠の対象に、省エネ機器の設置などが加わったことで実質的に実現する運びとなりました。
―軽自動車への課税はどう変わりますか。
斉藤 同じ軽自動車の枠内にありながら、軽四輪は今年4月以降に購入した新規車両のみ軽自動車税がアップするのに対し、軽二輪は4月以降、すでに保有している車両も税額アップの対象でした。この不公平感の解消に関して自公間で協議し、軽二輪の税額アップを1年間延期することになりました。公明党の訴えが実った成果です。
―エコカー減税はどうなりますか。
斉藤 これまでは「15年度燃費基準」の達成度に応じた減税でしたが、今後はより厳しい「20年度燃費基準」が減税の基準になります。その際、減税対象から外れるユーザーに配慮し、15年度燃費基準を一定程度達成している自動車も減税対象としました。
加えて、今年4月から来年3月までに購入した軽自動車(新車四輪)について、燃費性能に応じて翌年度分の軽自動車税を軽くします。環境性能の高い車の税負担軽減は、公明党の主張で取り入れられました。もともと、軽自動車は燃費がいいので、大半が対象になると見込んでいます。