【消費税】社会保障の給付と負担を明確に、20年後の社会保障のビジョンを明示。

 公明新聞では、与党や公明党の政策に対する新聞紙上や野党質問での論難に対して公明党の考え方を掲載しています。
 なかには、ためにする論調もあり看過できない、そして正確な理解の必要性を感じるものもあります。
 そのような趣旨で掲載された記事を転載します。
 この問題こう考える/<1>
 社会保障と消費税/財源に「別の道」なし/法人・所得税では支えきれず/公共事業費、防衛費を全部削っても無理!
2015年03月04日 2面
 政策課題に関する一部野党やマスコミの主張について、その問題点や公明党の考えを紹介します。
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 選挙が近づくにつれ、消費税に頼らなくても社会保障を維持できる「別の道がある」と主張する三つの“まやかし”論が横行します。
 少子高齢化が進み、税金や保険料を納める現役世代の人口が減る一方、年金や医療、介護など社会保障に充てる国の費用が毎年、1兆円規模で増えています。国の2015年度予算案で見ると、社会保障予算31・5兆円に対し消費税8%分の税収は国・地方合わせて約22兆円です。どうやって22兆円もの財源を捻出するのでしょうか。
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 “まやかし”論の第1は、社会保障の財源を確保する方法として「公共事業予算や防衛費を削れ」という主張です。しかし、15年度の公共事業費は約6兆円、防衛費は約5兆円。仮に、これら全部を削っても消費税の半分程度に過ぎません。公共事業費のうち、防災・減災対策など国民の生命や財産を守る予算を大幅に削ることもできません。
 第2に「大企業、金持ちに増税しろ」と言います。例えば、消費税を5%から10%に5%引き上げる分を法人税で賄おうとすれば、法人税率が現在の2倍以上となり、日本企業の競争力低下や海外移転を招いて働く場を失うことにつながります。同様に、所得税では所得税率が2倍近くに跳ね上がり、現役世代を直撃し、課税を免れる富裕層の海外逃避が加速。日本経済は不景気のどん底に突き落とされます。
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 第3に消費税が「公共工事など他の目的に使われている」という主張も“まやかし”です。「税制抜本改革法」(12年8月に成立)をよく見るべきです。消費税は年金、医療、介護、少子化対策だけに充てることが法律に明記されており、社会保障以外の目的には使われていません。
 “まやかし”論の最大の欠陥は、社会保障の負担と給付の全体像がないことです。10年後、20年後の日本の社会保障をどう守っていくのか、明確なビジョンを示さず有権者受けを狙うのは、あまりにも無責任です。