【休眠預金】「眠れる預金」を福祉や教育に活用し、地域の活性化に生かそう。

 休眠預金。
 私も銀行員時代に、休眠預金の雑益繰り入れの手続きをした経験があります。休眠預金は、一定期間動きのない少額の預金を対象に、口座毎の管理を止めて、別勘定で一本化するもので、銀行としてはシステム経費の削減が可能となるものです。もちろん、相続等も含めて預金者から申出があれば、利息をつけて払い戻しに応ずるものですが、全体とすれば払い戻しの極端に少ない預金が対象であり、まさに「眠れる預金」と言えます。そして、この預金が年間500億〜600億円あるとすれば、もったいない話であり、生きている預金として活用することは大切です。
 以下は、公明新聞の記事ですが、今国会で法案提出が予定されているとのことであり、活用策を知る必要があると思います。
 “眠れる預金”を福祉や教育、地域活性化に生かそう――。
 金融機関に10年以上、放置され預金者が現れない「休眠預金」が、年間500億〜600億円も生じている。
 このお金を預金者に払い戻す努力を尽くした上で、民間の公益活動に活用しようと、公明党を含む超党派の議員連盟が法制化を進めている。議員立法として今国会に法案を提出する予定だ。その内容、活用事例のイメージなどを紹介する。
 
 『超党派で法案提出めざす』 『児童養護、難病、地域おこし…民間団体の活動をサポート』
 休眠預金の活用は、人口減少・超高齢社会の到来を背景に、行政だけでは対応し切れない問題の解決のために、民間の公益活動を促進させることが大きな狙いだ。
 超党派で準備している法案によると、休眠預金は、金融機関から「預金保険機構」に移管された後、「指定活用団体」に交付され、そこから支援対象団体を選定する「資金分配団体」を通じて、助成や貸し付け、出資が行われる。
 資金分配団体および支援対象団体は、公募で決定。預金保険機構に移管された後でも、預金者が現れた場合は払い戻しに応じる。
 『多様な支援対象』
 支援対象となる団体の活動分野は、
 (1)子ども・若者の支援
 (2)日常生活等を営む上で困難を有する者の支援
 (3)地域活性化等の支援――の三つ。
 その具体例について、
 (1)の事例で考えられるのは……。児童養護施設で生活をしてきたA君は、苦学の末に大学合格を勝ち取った。学費は何とか奨学金で賄えるものの、住宅費を含む全ての生活費が大きな負担に。しかし、施設退所後、NPO法人(特定非営利活動法人)が運営する退所者向けの支援住宅に住むことができ、共同生活を送りながら大学の授業に出席。無事卒業し、就職を果たした。
 
 これは、あくまでもイメージに過ぎないが、NPO法人が休眠預金を元に資金の助成などが受けられることを想定している。
 
 (1)では他にも、「夜に親と食事を取れない子どもたちが複数人で食卓を囲める食堂を運営」「東日本大震災で被災した小・中学生、高校生に塾や予備校で利用できるクーポンを提供」などを想定。(2)については、「病院近くに難病の子ども患者の家族向けゲストハウスを設立・運営」「障がい者を積極的に雇用し、自立と社会参加を支援するためのベーカリー&カフェを運営」「ホームレスの自立を応援するために仕事やスポーツ・文化活動の機会を提供」などが挙げられる。(3)では「豪雪地で高齢者世帯の雪下ろしを有償ボランティアで実施」「空き家に芸術家を招き行政に頼らない村おこしを展開」「介護予防のストレッチを行うなど地域住民の交流の場を提供」などがイメージされている。
 
 『使いやすい制度を』
 
 こうした休眠預金の活用について、進学者への奨学金の給付も含めた児童養護施設の退所者支援を行っているNPO法人「ブリッジフォースマイル」の林恵子代表は、「私たちのような団体は常に資金や人が足りないので、サポートしてくれる仕組みは大変にありがたい」と歓迎する。その上で、「短期間で成果を求められる活動だけでなく、5〜10年と長期間かけて成果が出るような活動も支援を受けられる制度が望ましい」と語っている。現場に即した使い勝手の良い支援の仕組みとすることが、全ての分野の団体に共通する要望だろう。
 
 『今国会で成立期す』
 
 休眠預金の超党派議員連盟は2014年4月に発足し、有識者や各種団体からのヒアリングと検討を重ねてきた。自民党は23日に党内で法案を了承しており、公明党も現在、協議を続けている。党「休眠口座活用検討プロジェクトチーム」の谷合正明事務局長(参院議員)は「党内も含めた各党・各会派の意見を取りまとめ、今国会での成立を期していきたい」と述べている。