【27年2定】八島功男一般質問⑤新しい教育委員会と新教育長の責務について

質問 八島功男
 次に、新しい教育委員会と新教育長の責務について教育長に伺います。
 改正地方教育行政法による新しい教育委員会制度改革については、知事はじめ教育長に何度も質問をして参りました。ここでは、議会の同意を得て、知事より直接任命された新教育長の責務や教育長としての抱負について伺います。
 
 従来の教育委員会は、委員会を主催する非常勤の教育委員長と実務を取り仕切る常勤の教育長の体制で、緊急事態が発生した際の責任の所在が不明確でした。本県は、新制度移行に伴い教育委員が6名と実質的に増員され、教育庁組織を2部体制とするなど教育委員会の体制強化が図られました。今後は、知事が招集し、教育委員会と協議する公開の「総合教育会議」の開催が待たれます。ここで、まず協議されるものは、知事の策定する教育、学術及び文化の振興に関する総合的な施策である「大綱」です。ここをして、知事の権限の強化と推察する論評もあります。そして、教育委員会が引き続き教育行政の執行機関であることに変わりはありません。新教育長は、教育委員会の会務を総理することで、迅速な危機管理体制の構築を図ることを含めて、教育行政の第一義的な責任者であることは明確です。
 私は、昨年9月の代表質問で、二つの提案をしました。一つは、教育委員会委員の増員であり、できれば女性の委員の登用をと提案しました。こちらは、長谷川智恵子委員の任命により実現したことを嬉しく思います。二つ目は、新教育長の組織マネジメントスキルや資質を明らかにするために、文部科学省の通知にもあるよう
に議会の同意を得るための教育長の「所信表明」と「質疑応答」を提案しました。
 その意味で、今回は小野寺教育長の教育及び教育行政に係る、いわゆる所信を伺いたく思います。
 教育長は、教育委員会ホームページの教育長挨拶の中で、「いばらき教育プラン」に掲げる「一人一人が輝く教育立県を目指して」を基本テーマとして、引き続き、「確かな学力」「豊かな心」「健やかな体」の育成をして参りたいと述べられています。そして、今年度を「戦後教育の節目となる年」と位置付け、次期教育プランの策定に取り組むとしています。
 これを踏まえて、教育長は、教育の持つ力をどのように考え、教育とは何のためにあるとお考えか伺います。また、いじめや教員の不祥事に対する姿勢を示して頂き、望まれる教師像を伺うとともに、教育行政のトップとして、新しい教育委員会と新教育長の責務についてのご所見を、併せて教育長に伺います。
答弁 小野寺俊教育長
 新しい教育委員会と新教育長の責務についてお答えいたします。
 教育再生が叫ばれ、教育が大きな転換期を迎える中、新たな制度の下での教育長を拝命し、改めてその職責の重さを痛感しております。
 今般の教育委員会制度改革のきっすけが平成23年に発生した滋賀県大津市でのいじめ事件であることを胸に留め、まずは、責任体制の明確化、緊急事態への迅速な対応といった面でしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
 そして、今後何より大切なことは、教育委員会が組織の枠にとらわれず、常に社会全体の動きに目を向け、柔軟な発想と広い視野に立って、山積する教育の諸課題に真正面から向き合っていくことだと考えております。今後、総合教育会議での議論などを踏まえ、県行政に係る総合的な視点を持ちながら、広い民意が反映される開かれた教育行政の運営に努め、新教育長としての職責を果たしてまいる所存でございます。
 近年、グローバル化が急速に進展し、国際競争が激化する中、資源小国である我が国が世界での競争に打ち勝ち、国際社会で確固たる地位を占めていくためには、最先端の科学技術を担う人材や、国際社会で活躍する人材の育成が急務であります。人材が最大の資源である我が国にとって、まさに教育は国家発展の生命線であり、現在進めております確かな学力の向上や、豊かな心、健やかな体の育成に一層力を入れてまいります。
 一方、戦後70年となりますが、個人の自由を優先する社会の風潮を背景に、自分さえ良ければ良いという考え方がはびこり、子供たちの社会性や規範意識、忍耐力などが低下してきていることを大変憂慮しております。この問題に対して、学校のみならず、家庭・地域が連携して取り組むことが必須であり、特に人間形成の基礎がつくられる乳幼児期における教育は、極めて重要であると認識しております。今後の教育行政を進めるにあたりましては、教育は家庭から始まるものであるということを社会全体の共通認識として、「しつけ」を含めた家庭教育・幼児教育に特に力を入れて取り組んでまいりたいと考えております。
 また、望まれる教師像についてでございますが、教育の目的は子供たちの無限の可能性を引き出すことであり、その役割を担うのが教師であります。教師は単に知識を教えるだけでなく、事故の人間性で子供たちを感化する職業であり、子供たちの人格形成に関与する極めて重要な使命を持っていると考えております。学校現場の教師には、日々自己研鑽に励み自らの人間力を高め、仕事に誇りと自信を持って、子供たち一人ひとりに深い愛情を注いで欲しいと願っております。一方、教職員の不祥事につきましては、絶対にあってはならないことであり、一月に設置しました県教育委員会コンプライアンス推進委員会での議論などを踏まえながら、総力を挙げて根絶に取り組んでまいります。
 今般の制度改革を受け、本県では教育委員会組織に部制を導入するとともに、委員定数を実質一名増員するなど、その体制の強化を図りました。今後は、この新しい体制の下で知事部局当ともにこれまで以上に連携を図りながら、一人ひとりが輝く教育立県を目指し、本県教育行政の推進に全力で取り組んでまいります。