【原発問題】放射線と共生の憂鬱

 福島第1原子力発電所のメルトダウン事故に対して、放射線モニタリング等の支援サポートしている独立行政法人日本原子力研究開発機構(原子力緊急時支援・研修センター)を訪ねて、金盛センター長から、放射線モニタリングの状況等を井手県議・田村県議と共に聴き取り視察致しました。
 
 機構の支援活動は、環境モニタリング車3台の派遣や身体汚染サーベイの実施、福島県立医大に身体洗浄車や体表面測定車の配備と測定、復旧関係作業員の内部被爆線量の評価をする移動式全身カウンタ測定車の配備と測定、福島県内小中学校の56地点の環境放射線測定を実施です。
 
 更に、空間線量の監視を強化して、皆さんご存知の通りの3月15~16日、21日の空間線量の上昇と推移も明確にしています。
 
 また、健康相談ホットラインを開設して、毎日400件程度の住民問い合わせにも対応している機構です。
 私が興味深い事は、<放射線と私たちの共生>と、<風評>です。
 
 この<放射線と私たちの共生>は、放射線量と健康被害の関係とも言えます。
 私たちの周りから放射線量をゼロにすることはできません。
 自然界の一人当たりの自然放射線量を世界平均では年間2.4ミリシーベルト。
 これは地域差があります。日本国内でも関西に高く出で、関東は低めに線量がでます。関西は花崗岩上にあり、関東は関東ローム層上にあることで年間1ミリシーベルト差異があると言われます。
 
 そして、その自然放射線に加算する一般公衆の線量限度を年間1ミリシーベルトとしている現状があります。この年間1ミリシーベルトは、厳しく低位にあることを要求しており、歯医者等の放射線関連従事者と大きな乖離があるものです。
 
 また、私たちの周りにある物品に多くの放射線が存在し、私たちが全く気にもしないものがあります。例えば、乾燥コンブであり、カンウム系肥料等です。クリスタルグラスも硬度なものほど放射線を検出します。実は、既に私たちは放射線と共生しているのです。
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それでも放射線を少しでも排除しようとしてストレスを溜め込んでいる私たちです。
 
 放射線に対する知識不足と、啓蒙活動の遅れが、ある種の混乱を招いているとも言えましょう。
 
 <風評>もまた、同様です。時間の経過の中で、各種のモニタリングも精緻なものになってきました。
 計測ポイントも増え、バラバラのきらいがあった計測手法も統一されまてきました。それでも、計測地点を微に入り細に入り説明しても、報道や人の頭にのこるものは最初の一、二のポイントだけに思えます。
 
 更に、原発に対する安全神話は、放射線と向き合う正確な許容範囲の説明を後手にしました。事故後に暫定規制値を改定しても納得できない印象は否めないと言う事です。
 もっと全体的な見地から正確なデータを読み取れるようにしていかなくてはなりません。
 
 現時点でのデータを見る限り、ベントと降雨以降の放射線量は低めに安定しています。
 ご存知の通り、放射性ヨウ素は、半減期8日であることから既にほぼ消滅しています。放射性セシウムは、半減期が30年ですから減少していません。いまも地表に降りたセシウムが低位に計測されていると分析できるのではないでしょうか。
 今後は原発事故対応の推移によるもので不明ですが、当面の事故対応は地表5センチメートル程度の削除になると思われます。ここに早急な対応が必要だと考えます。