【津波】貞観地震に学ぶ。繰り返される歴史にも人間を守る最大努力が必要だ。

 独立行政法人産業技術総合研究所の活断層・自身研究センターを訪ね、海溝型地震履歴研究チーム長である宍倉博士から、西暦869年発生の貞観地震についての知見をお聞きしました。
 貞観地震は、「日本三代実録」と言う平安時代の古文書からそ歴史が明らかになりました。そして、宮城県多賀城市を中心とする仙台平野の津波堆積物を採取観察することで証明されたものと言えます。
 国のこれまでの地震評価は、日本海溝沿いにおける海溝型地震の長期予想を8の区域に分けて発生確率を想定していました。つまり、今回のような8つの区域の連動巨大化は想定していなかったと言う事になります。
 
 しかし、東日本大震災規模の地震は、初めてではなかったということが、この貞観地震の研究により明確になりました。
 残念ながら、この調査内容を3月23日に発表しようとした前に東日本大震災は発生してしまいました。
 宍倉チーム長は、「現在は過去を解く鍵、過去は未来を測る鍵」として、関東の沖合いでかつて発生した地震、1677年延宝地震・1703元禄関東地震・1923大正関東地震を示して、茨城における延宝地震の津波高の推定と震源の研究を教えてくださいました。
 茨城県においては、この1677延宝地震を参考に津波ハザードマップを作成、更なる地質調査による延宝地震の実態調査をするべきであるとされました。
 そして、行政や専門家に向けて、「数百年に一度の巨大津波を堤防で防ぐことは難しい。避難路と避難施設の整備が重要である。加えて、最大規模の津波を想定したハザードマップの整備と市民への知識普及必要。一般市民は、津波におびえるのではなく、もし発生したらどうなるかを知って、その時に備え、対応する心構えが大事。津波は警報を聞いてからすぐ退避することで人的被害は防げる」と結論付けてお話くださいました。
 私たちは、歴史に学ばなければなりません。歴史の中に営々たる人間の生き様があり、自然との厳しい相克もあったと思います。今一度、繰り返される歴史に、人類史の成長を刻む思いで共生調和していきたいと考えます。