茨城県本部代表でもある公明党政調会長の石井衆議院議員は、昨日(29日)首相官邸で、民主党の政策責任者である(?)玄葉国家戦略担当相宛に、被災地の復旧復興に向け切れ目ない対策をこうじるために「2011年度第2次補正予算案に関する提言」を提出しました。
提言は、
①原発事故の損害賠償と放射能対策
②本格的な復旧・復興対策
③被災者の生活支援対策
の三本柱からなるもので、賠償仮払金の迅速な支払い、学校の放射能対策の強化、がれき処理を国が代行を求めています。
以下、本提言の全文を掲載します。
平成23年度第2次補正予算案に関する提言
平成23年6月29日
公明党政務調査会
政府は、平成23年度第1次補正予算に続き、被災地の復旧のための緊急措置に限定した第2次補正予算案の編成を進めているが、本格的な復興に向けた大型補正ではなく、当面の緊急措置のみの小規模な予算となることは誠に遺憾である。
しかしながら、被災地域の復旧・復興に向けて切れ目なく対策を講じることの重要性に鑑みれば、できる限り早期の編成、執行が求められる。
以上の認識に基づき、公明党は、緊急措置として第2次補正予算案に盛り込むべき重点項目を提言として取りまとめた。政府において、予算案に最大限反映させるよう強く求めるものである。
原子力事故による損害賠償、放射能対策
〇「原子力被害者早期救済法」に基づく仮払い等の促進 5,000億円
東京電力による賠償金の仮払いには時間がかかることから、「平成23年原子力事故による被害者に係る緊急措置に関する法律案」(通称・原子力被害者早期救済法案)に基づく国による仮払いの促進、「基金」による紛争審査会の対象外となっている応急対策を実施する。
〇原子力損害賠償法の政府補償契約に基づく補償金 1,200億円
原子力損害賠償法の政府補償契約に基づく補償金(福島第一原発分)の支払いを行い、被災者や被災企業等に対して、東京電力による速やかな賠償金支払いを実施する。
〇福島県内における校庭等の放射線量低減策の実施 100億円
国の責任で、校庭表土、公園、通学路等の除染を行い、1μSv/h以下の校庭についても財政支援策を講じる。
〇福島県外における校庭等の放射線量低減策の実施 35億円
福島県外の学校施設等で1μSv/hを上回る校庭等について、表土除去処理などを実施する。
〇福島県内における校舎等の防暑対策 150億円
校庭等の放射線量が1μSv/h以上の福島県内の学校等(以前、1μSv/h以上を含む)について、エアコン設置や窓ガラスへの遮熱シート貼付などを行う。
〇林間学校等を活用した児童・生徒の一時移転 20億円
児童・生徒の健康を守るため、林間学校などを活用し、福島県内の希望する子どもたちが屋外活動を含め安心して学べる環境を提供する。
〇放射能測定調査の強化 100億円
東電福島原発周辺及び全国各地において、放射線モニタリングポスト及び線量測定システムを増設するなど、網羅的な放射能モニタリング体制を強化する。
〇福島県内の放射線健康影響調査の実施、被ばく医療体制の強化 45億円
福島原発周辺の地域住民への健康調査を実施するとともに、子どもに対してフィルムバッチ等積算放射線量が計測できる機器を貸与するなど定期的な健康管理を行う(遡及して財政支援)。
福島県立医科大学医療器材の拡充などにより、福島県内の被ばく医療体制を強化する。
〇日本ブランドの復活・強化(風評被害対策) 50億円
海外における東北を中心とした地方の魅力の発信、対外国プレスへの発信力の強化、対日理解促進のための招聘事業の実施など、日本ブランドの復活・強化を図る。
本格的な復旧、復興に向けて
〇迅速ながれき処理の推進 <要法律制定> (全額国庫負担)1,000億円
仮置き場、最終処分場の早期確保と適正な利用を図るとともに、国によるがれき処理の代行及び国が全額補助するための立法措置を行うなど迅速な処理を推進する。併せて、災害復旧に係る公共施設の解体撤去費を国庫補助の対象とする。
〇農地買い上げ対策 <要法律改正> 1,000億円
早期復旧が困難な被災農地や代替地について、国が買い上げる。
〇水産業の復興対策 2,000億円
養殖、定置網漁業等における共同経営・漁協自営方式による復興、漁業生産関連施設の復興、漁船の再建復興のための対策を講じる。 水産業共同利用施設復旧支援事業について、要件緩和など大幅に拡充する。
〇仮設店舗、仮設工場の整備 300億円
被災地において、早期に事業再開を希望する中小企業や農林漁業者を支援するため、中小企業基盤整備機構による仮設店舗、仮設工場の整備を拡充する。
〇二重債務問題解消に向け、債権の買取り等を行う「機構」の創設 ―――
被災地における事業の再生を図るため、既存債権の買い取り及び事業再生等を行うための「機構」を創設する。
被災された方の生活支援対策
〇被災者の福祉施設等の利用者負担の軽減措置 30億円
医療、介護、障がい者福祉施設における利用者負担(①入院時食事療養費・生活療養費、②介護保険の食事・居住費、③知的障がい児施設や障がい者支援施設の食事・居住費)について、減免措置を継続する(6ヵ月分延長)。
〇災害弔慰金の支給対象の拡大 3億円
災害弔慰金支給法を改正し、災害弔慰金の支給対象となる遺族の範囲を兄弟姉妹(死亡した者の死亡当時その者と同居し、または生計を同じくしていた者)まで拡大する。
〇仮設の特別養護老人ホームの建設 20億円
被災地の要望に応じ、仮設の特別養護老人ホームの建設を国費で行う。
〇避難所における熱中症対策 1億円
避難所における熱中症等を予防するため、熱中症シェルターや移動型クーラー等を設置する。
〇被災者生活再建支援金の積増し 3,400億円
第一次補正予算に積み増す分については、全額国費で支給するものとする。
その他
〇復興基金の創設 ―――
被災地における本格的な復興に向けて、被災県毎に復興基金を創設し、国による最大限の財政上の支援を行う。
〇自衛隊員等に対するメンタルヘルスケアの充実 10億円
捜索・救助、救援、復旧作業にあたる自衛官、即応予備自衛官等に対するメンタルケアを充実する。