本日(15日)衆議院本会議に於ける公明党石井啓一衆議院議員(茨城県代表、公明党政調会長)の代表質問は、第二次補正予算が被災地において如何なる意義を持つかを正面から取り上げ、被災地の立場から被災地の眼から、今成すべき事を明確にしたものです。
被災地が抱える現在と現実を、私たちは同じ気持ちになって考え、思いを共有することで、遅れている復旧を急がなくてはなりません。
土浦市でも、被災した家屋の修繕費助成が具体的になりました。チラシも完成し、市報に折り込むことも決定、申請書の間もなく土浦市ホームページに掲載されます。
土浦市議団では、平石市議を中心に、修繕費助成のQ&Aを作成しています。来週、土浦市の担当課長とのすり合わせをして配布準備いたします。該当する全員の方が、助成手続きされるようにフォローしたいと思います。
以下、石井衆議院議員の質問内容を掲載します。
平成二十三年 七月十五日
第一七七回国会 (衆 議 院)
財政演説に対する代表質問
公 明 党
石 井 啓 一
私は、公明党を代表して、ただいま議題となりました平成23年度第二次補正予算案に対して質問いたします。
【はじめに】
東日本大震災から4カ月目の7月11日、私は岩手県の被災地で朝を迎え、大震災で亡くなられた方々、被災された方々を思い、復旧・復興への決意を新たにしました。
9日から11日まで、公明党の東日本大震災復旧・復興支援対策チームのメンバーとともに、宮古市、釜石市、大船渡市、山田町など岩手県三陸沿岸の被災地を訪れ、市長・町長をはじめ、漁業関係者の方々などと対話を重ねました。
山田町の船越湾では、やっと小さな漁船を係留できるようになった漁港で、ブルーシートを広げて十数人の漁業関係者と車座で懇談しながら、ご意見・ご要望をうかがいました。生活の糧である漁船や漁具を失い、いまだに生活再建の目処が立たない状況の中で、ある漁師の方が発した「政府は一体何をやっているんだ! とにかくやることが遅い!」という言葉が胸に突き刺さりました。
またある首長は、「国の判断を待っていられない」と、自らの決断でがれき処理など先行すべき施策を次々と実施したと話していました。「今からでも、国の覚悟を示して欲しい」と訴えられました。
菅総理、これが現場の声です。あなたは「やるべきことはやってきた」と言いますが、被災地では今も2万人以上が避難所生活を余儀なくされ、がれきの撤去も進んでいません。事実として、政府の対応が「遅い」のです。現場の声、被災者の「心」を真剣に受け止めていないと言わざるを得ません。この度の二次補正予算案も一次補正の4兆円より小さい2兆円という極めて中途半端な規模で、総理の「延命」が目的と思わざるを得ませんし、結果として本格的な復興に向けた三次補正を遅れさせています。
加えて総理は、思い付きや場当たり的な発想で、一貫性のない指示を出すため、ますます現場が混乱し、対応が遅れてしまいます。まず、これらの問題を指摘して、具体的な質問に入ります。
【今、取り組むべき課題】
○ 二重ローン問題への対応
震災からの復興に向けて、中小企業の方々や農林漁業者が事業を再開する際に大きな障害となっているのが二重ローン問題であり、今般の震災の甚大さに鑑み、政治主導により解決策を図っていくことが求められています。
そのための重要な方策として、既存債務を一旦買い取った上で、事業者の再生を支援する、新たな機構の設置が不可欠であると考えます。
政府・民主党は当初、「機構」そのものの設置に消極的でしたが、公明党、自民党との協議の中で、ようやく新たな機構の設置を容認しました。しかしその中身は、現行法の枠組み、省庁の壁を越えられない不十分な内容と言わざるを得ません。
政府・民主党案の問題点を三点指摘します。
第一に、政府・民主党案では、旧債務の買い取り額が千五百億円から2千億円程度のようですが、被災の実情とは全くかけ離れた、限定的なものに留まっています。
第二に、現行法の枠内、具体的には経済産業省所管の中小企業基盤整備機構からの出資が主体の機構では、農林漁業者なども対象とするとしているものの、その性格から、農林漁業者への十分かつ確実な救済が期待できません。
第三に、被災事業者を迅速に支援するためには、ワンストップで支援する仕組みが必要ですが、政府・民主党案は、既存の中小企業再生支援協議会による支援と旧債務を買い取る新たな機構による支援という「ツーステップ」であり、使い勝手が悪いという点です。
政府・民主党は、速やかに私たち野党が参議院に提出した「再生支援機構法案」を成立させるべきです。菅総理の決断を求めます。
また、住宅ローンなどを抱える個人債務者の救済も重要です。その一つとして、現在、金融機関等の関係者間で検討中で、本日中にも決定されると聞いている「個人向け私的整理ガイドライン」において設立される見込みの第三者機関の手続き費用については、被災債務者の負担がないように、国がその費用を助成し、二次補正予算案の予備費で対応すべきと考えます。総理の答弁を求めます。
○ がれき処理法案について
次に、がれきの処理について伺います。東日本大震災からの復旧・復興に向け、被災地で今、最も必要とされる対策の一つが、がれき処理であります。
東北3県に限っても、がれきの推計量は約2千2百万トンもあります。公明党は7月1日、がれき処理を国の責務として促進する「災害廃棄物処理特別措置法案」を4野党共同で衆院に提出しました。
その内容は、がれき処理について、被災自治体の要請に応じて国が代行すること、そして処理費と施設整備・運営費の全てを国が負担することが大きな柱です。
本来であれば震災発生後直ちに政府が提出すべき法案です。ところが野党の法案提出から一週間も経って、ようやく政府は野党案をコピーしたかのような法案を提出しました。
その上、政府案では、一番の論点が抜けています。処理にかかった費用の自治体負担分を後から地方交付税で補填することにより、結果的に国が全額を負担するとしていますが、これは現行法の特例措置でも出来ることです。自治体にとって一番の足かせは、一時的であれ拠出できる予算が確保できないことなのです。事態の緊急性にかんがみ、政府・民主党は、我々野党が提出した法案を早期に成立させるべきです。総理の認識を伺います。
○ 液状化や宅地崩壊への支援
次に地盤の液状化や宅地崩壊への対応について伺います。東日本大震災は、各地に想像を超えた被害をもたらしましたが、その一つに、現行の支援の仕組みでは全く不十分な、地盤の液状化や宅地崩壊による被害があります。
総理は6月中旬に液状化被害を視察されたそうですが、視察されてから一体どんな手を打ったのでしょうか。全く伝わってきません。政府の対応が遅い一方で被災市町村の中には、補助制度の創設など宅地被害の復旧のために、素早い対応を取っているところもあります。
こうした自治体の取り組みを支援するとともに、これまでの制度の抜本的拡充や新制度の創設など、被災地域の家屋の特徴や被害の実情を踏まえた、液状化対策や宅地崩壊対策に取り組むべきと考えます。総理の見解を求めます。
○ 被災県における基金の創設
次に被災自治体の判断で活用できる「復興基金」の創設について伺います。
公明党は被災県それぞれの地域の特性や被災状況、特に原発事故の影響を抱える福島県の特殊事情などを踏まえつつ復旧・復興を進めていくため、複数年にわたり、地元のニーズに基づいて自治体の判断で活用ができる使い勝手のよい「復興基金」の創設が不可欠であると考えます。
阪神淡路大震災の際には、震災後およそ2ヵ月半で兵庫県と神戸市が資金を拠出し、復興基金が立ち上がったことを見ても、菅政権の対応は鈍いと言わざるを得ません。
公明党は「第二次補正予算に関する提言」で、基金の創設を提言しましたが、今般の二次補正における特別交付税の活用や第三次補正以降の「復興交付金」の創設で財源を確保し、早期に基金を創設すべきと考えます。総理の見解を伺います。
【今後の課題】
○ 復興特区法案等について
冒頭、申し上げた通り、私は先週から今週にかけて、岩手県沿岸の被災地を訪れました。釜石市や大船渡市、山田町などでは、住民との意見交換やアンケート調査などを行い、既に復興基本計画の骨子やビジョンをまとめていました。9月には復興基本計画をまとめられるという状況です。
その一方で政府からは、復興基本計画策定にあたっての土地利用などの方針が示されないため、被災自治体は頭を抱えています。政府は集落の高台への集団移転など大規模な土地利用の転換を伴う事業を被災自治体が実施する場合、法の弾力運用や規制緩和、補助制度のあり方など、現行制度の見直しや新制度の創設、財政支援をどのように行っていくのか。こうしたことの具体的な方針を早く示さなければ、自治体が復興基本計画を策定しても画に描いた餅になりかねません。
また復興基本法に盛り込まれた「復興特区」について、平野復興担当大臣は法案を秋の臨時国会に提出すると発言しました。それでは復興特区が指定されその効力が発揮されるのは、かなり先になってしまいます。被災地の復興を真剣に考えるなら、是非とも今国会中に提出・成立させて、復興を大きく前進させるべきと考えます。
自治体の復興基本計画策定にあたっての土地利用などの方針や、復興特区法案について、早期に策定すべきです。総理の見解を伺います。
○ 三陸沿岸道路などインフラ整備
申し上げたように、各被災自治体では今、復興に向けたビジョンや計画、基本方針の策定が進んでいます。政府としても、こうした自治体の取り組みに、財政支援や規制緩和など、あらゆる方向から支援していかねばなりません。特に自治体の復興基本計画の前提となる、国による基幹インフラの復旧および整備の方針を、速やかに提示することが重要です。
たとえば、大津波で壊滅的な被害をうけた被災地の防潮堤や防波堤について、未曾有の大津波の前では効果がなかったとの意見もありますが、被災自治体からは、津波被害の軽減に大いに役立ったと高い評価が寄せられ、一日も早い着実な復旧が求められております。
また、三陸沿岸道路の早期整備が必要と考えます。この道路は、震災時の避難路となっただけでなく、救援物資や医療関係者を運ぶ、文字通り「命の道」としての機能を果たしました。被災自治体は、三陸沿岸道路の早期整備を待ち望んでおります。
こうした、基幹インフラの復旧・整備の方針が見えてこなければ、被災自治体の復興基本計画策定のための前提条件が整いません。こうした方針を速やかに示して頂きたい。国土交通大臣、明確にお答え下さい。
○ 農林水産業支援
次に、農林水産業者に対する支援策について伺います。
事業再開に向けて、目下の課題は既に述べた通り、二重ローン問題の解決と、農地や水産関連施設、木材加工場等の生産インフラの復旧であります。
復旧・復興の見通しを示すことと平行して、政府が責任をもって行うべきことは、被災した生産者に対する当面の生活支援です。
一次補正予算では、経営再開に向けた復旧作業を行う農業者への支援金や、漁港のがれき処理作業に対して日当を支払うことになりましたが、予算も限られており、現場の生産者はこれでいつまで生活を支えられるのか不安を抱えています。本格的な事業再開が可能となるまでの、当面の生活支援策を講じるべきです。我々公明党が提案している復旧困難な農地の一時買い上げなどは、復興計画の早期実行を担保するとともに、被災農業者等の当面の生活資金を確保することにも役立ちます。
農林水産大臣の見解を求めます。
○ 第三次補正予算、総合経済対策
日本経済の先行きも、決して楽観はできません。
例えば、復旧復興が進まないことによる被災企業の再生の遅れ、電力不足の長期化に加えて電力料金の引き上げなどによる産業への影響、それに伴う企業の海外移転等による産業の空洞化、雇用の喪失、さらには国際競争力の低下も懸念されます。また、原油高などによるコストの押し上げ、欧州をはじめ世界経済の不透明感が増す中での為替相場の円の高止まりなど、日本経済の置かれている厳しい状況を十分に踏まえた経済対策を講じるべきです。
被災企業の再生支援、電力供給制限への対応、日本ブランドの復活と輸出の回復、個人消費の回復などを目指した総合的な経済対策について、本格的な復旧・復興対策に加えて、第三次補正予算にしっかりと組み込むべきと考えます。総理の答弁を求めます。
被災地では本格的な夏を迎えていますが、政治が手をこまねいていては、復旧・復興への取り組みが遅れ、あっという間に冬が来てしまいます。すでに第三次補正予算の提出は早くても秋、執行に至っては冬になりかねない事態となりました。誠に遺憾であります。この時間的なロスを招いたのは菅総理の身勝手な延命策によるものに他なりません。
政治の役割は、被災者の気持ちに寄り添い、被災された方々が、希望を持って立ち上がる勇気と行動に対して最大限の支えとなることです。
国民の圧倒的多数は、菅総理が一刻も早く退陣し、新しい総理のもので、国民のため、被災者のための第三次補正予算が早期に編成されることを期待していると申し上げ、私の質問を終わります。
以上