いわゆる「二重ローン」問題で、主に住宅ローン等を中心とした二重ローンについて、茨城県の対応を確認しようとしましたら、県は全く関知していないことが分かりました。
法人向けについては、県が出資する組織を持って二重ローン対策されますが、個人については、各県に「個人版私的整理ガイドライン運営委員会」の支部(茨城支部)が設立され、債務者(借入者)と債権者(銀行等)の調整仲介を行います。
茨城県も、水戸市の茨城産業会館に各金融機関からの出向者を迎えて設置されており、すでに相談が開始されています。つまり、個人版は、法的倒産手続きである自己破産等による不利益(ブラックリスト等)を回避するものの同様な破産手続きの手順に従うということです。ですから、個人と金融機関間の個別のやり取りに県や国は組織として関与しないということと解されます。
ただ、この「二重ローン対策」は、「既存の債務免除は認められる」が、「新たにローンが利用できる」とはイコールではありません。この二つは、考える時間軸が違います。つまり、「新たなローン」とは、現時点で返済可能ということであって、震災被災者の就業状況を既存借入の当初に戻すということではないからです。
家の既存借入はなくなるけれど、新しい家は建たないことがあることを知って、この債務免除を理解しなければなりません。
もちろん既存債務の免除は大きな意義があります。これは、過去を考えれば画期的なことです。是非ともご相談してほしいと思います。
また、微妙な問題として、既存債務の免除は、単に震災被害にあっただけではないのです。震災被害に遭い、返済不能な人を対象としていますから、資産があり、仕事があってそれなりに返済可能な人は免除されない可能性が高いのです。
またまた言うと、返済可能でなければ新たなローンは借りれないのに、返せる能力があると免除されないのです。これを矛盾と言わずしてどうしようと言うのでしょうか。
さらに言えば、いわゆる「破産」をベースにしている限り、この個人版私的整理は、どこかで堂々巡りの土ツボにハマる恐れがあります。「破産」の概念を少し変えなければなりません。新たな借り入れとセットにする必要はないけれど、住宅を取り戻す(新築)することが最終的な課題であれば、そこに堪えられる対応になるかが問題です。
これから色々な事例が出てくるでしょう。時間と事例の積み重ねしか解決の方法はないと思います。