【二重ローン】国は、自宅新築より、賃貸住宅生活を勧めているのかもしれない。

 昨日のブログで、二重ローンについて、「返済できないから免除するけれど、返済できないから貸してくれない」と言う矛盾について書きました。
 債務免除を個人情報のブラックリストに載せることなく実行できること自体は画期的なことです。ですから該当される方は積極的にご相談されたほうが良いと思います。しかし、例えば震災で失ったご自宅が再建できることに繋がらない場面に遭遇することも、残念ながら想定しなければなりません。
 つまり、元に戻ることではないのです。これが本当に「ゼロからの出発」を目指すための決め手にはならないのです。
 ここから想像したことを書きますので、最初に間違いがあればお詫びしておきます。
 なぜ、上記のようになってしまうのか。
 それは、例えばマイホームで言うと、震災時点で建築後10年の家は、再建は新築であり、震災時とイコールではありません。減価償却を引き戻すことはできません。再建する借り入れは、経過した10年を考慮すれば、全く新たな債務の繰り返しです。重い負担の再現です。減価償却後の再建新築の家にできればよいのですが、なかなかそうはいかないでしょう。そして、時間の経過により、返済原資の収入も違いますし、何といっても年齢が重なりますので、返済期限までの期間が短縮され、更に返済割合は厳しくなるのです。
 金融機関の言う、期限の利益を享受するには、年齢と言う厚く重たい壁が存在します。
 それでも、二世代住宅や家の継承者がいれば何とかなります。親は債務免除し、子供が新築する。子供が借入し同居できれば何の心配もありません。つまり、新築の可能性は、理想的家庭には確実にあります。
 それでは、継承者がいない場合はどうするのか。きっと国は、県営住宅や市営住宅に入居したら良いと考えています。自宅という固定資産に頼らず、死んであの世に土地建物は持っていけないから、ストックに頼らず、フローの資金を持って生活しなさい。そのための賃貸アパートは作りますとなっていると思います。
 震災は、ストツクのあり方を根本的に問いかけているのです。津波の危険性のある土地に住めるのか。液状化の土地にすめるのか。転居してコミニュニケーションはとれるのか。食・衣・住はバランスよく確保できるのか。日本は土地本位性ですから、根本的な命題に当ってしまったと思えるのです。
 「心は見えない。心配りは見える」と言いますが、見えるものでしか信ずるに足るものがないと考えるから形ある資産形成に突き進んでくたのです。これからは信ずるものの本質が何かを考え、万人に共通の何かを作り上げなければならないと考えます。
 私は、資産の形は、バランスシートだと思います。このバランスシートは、何月何日何時何分時点のもので、過去のものです。このバライスシートの未来形を想像し実現するための政策が必要です。
 日々の生活は、キャツシュフローが大事です。収入の範囲で支出すれば良いのです。そして、これが簡単ではありません。だから銀行があるわけですから。しかし、この原則を踏み外したり、楽観は良いけど安易はダメと気づきながら明日の一歩を踏み出して欲しいと思います。
 二重ローンは、何のために解消しようとしているのか。本当に何もなくした人のためになっているのか。そして、日本全体で考えれば、思いの共有と納得があるのか。債務免除の公平性を担保できるようにしなければなりません。もちろん、個人版私的整理ガイドラインは、金融機関と個人の交渉事ですから、当事者がウィンウィンであれば良いと思います。それだけに厳しい交渉の中で二重ローン対策が進んでいくことに注目したいと思います。